2012年宜野湾市長選挙

2012年宜野湾市長選挙

2012年（平成24年）2月12日に投開票が行われた沖縄県宜野湾市の市長選挙は、前年12月に当時の市長が心臓疾患の療養を理由に任期途中で辞職したことに伴い実施されました。

宜野湾市には在日アメリカ軍普天間飛行場が所在しており、この選挙は、その移設問題の解決に向けた市の姿勢を左右するだけでなく、国の普天間移設政策や日米関係にも少なからず影響を及ぼす可能性があったため、高い関心を集めました。選挙結果は、沖縄における基地問題の行方を占う上で重要な意味を持つと見なされていました。

選挙戦の最中には、複数の騒動が持ち上がり、有権者やメディアの注目を集めました。
まず、2012年1月には、沖縄防衛局が職員やその親族の中に今回の市長選挙の有権者がいるかを調査させていたこと、さらに当時の局長が職員に対し、親戚にも投票を促すよう示唆する内容の講話を行っていたことが明らかになりました。これらの行為は、行政機関による選挙への不当な介入であるとして、市民などから強い批判を浴びることとなりました。
一方で、宜野湾市職員労働組合も、特定の候補者への選挙活動協力や投票を呼びかける文書を作成していたことが判明しました。これは、地方公務員法が定める政治的中立性の義務や、公職選挙法に抵触する可能性が指摘され、市職労側の行動にも法的な疑念が浮上しました。こうした異例の状況が、実際の選挙結果にどのような影響を与えるのかも、関心を持って見守られました。

選挙には、元職と新人の一騎討ちという構図で候補者が立候補しました。
主要政党の一つである民主党は、普天間基地の移設先をめぐる党本部（日米合意に基づく名護市辺野古への移設を推進）と沖縄県連（県外移設を強く要求）との間の意見の対立を解消できず、候補者を独自に擁立することができませんでした。結果として、民主党は自主投票としましたが、玉城デニー氏や瑞慶覧長敏氏といった沖縄県選出の一部の衆議院議員や、地元の地方議員らは特定の候補者を支援する動きを見せました。

この選挙の主要な争点として、まず普天間飛行場移設問題をどのように解決していくか、そして市の経済をどのように活性化させていくかの二点が挙げられました。特に普天間移設問題は、選挙戦を通じて最も熱い議論の的となりました。

選挙告示日の直前には、アメリカ政府が在日米軍の再編計画を見直す過程で、沖縄に駐留する海兵隊の一部をグアムへ先行して移転させる検討を始めたとの報道がなされました。これは、残りの部隊が沖縄に残り、普天間基地の返還が遅れる、あるいは基地が固定化されるのではないかという懸念を呼び起こし、普天間問題に対する有権者の関心をさらに高めることとなりました。

普天間移設問題に関する候補者の主張は、両者ともに普天間飛行場の沖縄県外への移設を訴える点では一致していました。しかし、具体的な移設先に関しては違いがありました。一方の候補は国外への移転を強く求めましたが、もう一方の候補は県外への移設を主張しており、かつて沖縄県議会議員であった時代には、条件付きではあったものの名護市辺野古への移設を容認する姿勢を示した経緯も指摘されました。

選挙は2012年2月12日に執行され、即日開票されました。
最終的な投票率は63.90%となり、前回の市長選挙と比べて3.23ポイントの低下となりました。この選挙結果は、普天間移設問題や地域課題に対する市民の意思を示すものとして、国内外から注目されました。

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