2014年石川県知事選挙

2014年 石川県知事選挙

2014年 3月16日、石川県において任期満了に伴う県知事選挙が実施されました。この選挙は、当時の知事であった谷本正憲氏が、現職として最多に並ぶ6期目の当選を目指して立候補したことなどから注目を集めました。選挙には、現職の谷本氏に加え、石川県議会議員だった川裕一郎氏、そして過去にも知事選挙に出馬経験がある団体役員の木村吉伸氏の計3名が立候補し、それぞれの主張を訴えました。

選挙戦の告示は2014年 2月27日に行われ、投開票日は3月16日でした。投票は午前7時から午後8時まで実施され、これに先立つ2月28日から3月15日までの期間には期日前投票も行われました。この知事選挙と同日には、石川県議会議員補欠選挙（加賀市選挙区、白山市選挙区）や、輪島市長選挙及び輪島市議会議員補欠選挙も告示されましたが、県議補選の白山市、輪島市長選、輪島市議補選は無投票となりました。

立候補者たちは、それぞれの経歴や政策を前面に出して選挙戦を展開しました。木村吉伸氏は、新しい県政をつくる県民の会事務局長を務め、2006年、2010年の知事選挙にも共産党の推薦を受けて立候補していました。今回も共産党の推薦を受け、3度目の挑戦となりました。川裕一郎氏は石川県議会議員でしたが、所属していた民主党系の会派が、谷本氏の出馬表明前に谷本氏への支持を決定したことに反発し離脱。その後、民主党県連が谷本氏を推薦する決定を下した際もこれに同意せず、離党して無所属での立候補を表明しました。一方、現職の谷本正憲氏は、1994年の初当選以来、既に5期20年の実績があり、今回は6期目を目指しました。自民党県連、公明党県本部、民主党県連から推薦を受け、さらに社民党からの支持、連合石川からの推薦も得るなど、幅広い層からの支援を取り付けました。

選挙期間中の政党や団体の動きも、この選挙の特徴の一つでした。これまでの知事選挙で谷本氏を推薦・支持してきた与野党の主要政党は、今回も多くが谷本氏支持に回りました。特に自民党県連内では、谷本氏の6期目への多選に対する批判もあり、一時、同党参議院議員の岡田直樹氏を独自候補として擁立する動きも見られましたが、最終的に岡田氏が出馬を見送り、自民党県連も前回に続いて谷本氏への推薦を決定しました。これにより、現職に与野党が相乗りする構図が形成されました。これに対し、共産党は木村氏を擁立し、前回・前々回に続いて推薦しました。

主な争点としては、20年にわたる谷本県政の実績評価と、知事の多選の是非が挙げられました。川氏と木村氏は、共に谷本氏の多選を強く批判し、特に川氏は任期を原則3期12年までとする多選自粛条例の制定を公約に掲げました。また、北陸電力志賀原子力発電所の再稼働問題も争点の一つとなりました。木村氏は即時廃炉を、川氏は自然エネルギーへの転換を主張し、両氏とも再稼働には否定的な立場を取りました。一方、谷本氏は「安全確認が最優先」との姿勢を示しました。その他、2015年に控えていた北陸新幹線金沢駅開業に伴う地域・観光振興策なども論点となりました。

選挙の結果、投票率は44.98%となり、前回の48.13%から減少しました。当日の有権者数93万3967人に対し、投票総数は42万135票でした。開票の結果、現職の谷本正憲氏が圧勝し、茨城県知事と並んで現職知事として全国最多となる6期目の当選を果たしました。谷本氏は、新幹線建設などのインフラ整備や20年の実績をアピールするとともに、新幹線開業後の観光振興策を訴えました。自民、民主、公明、社民といった主要政党や連合石川、さらに県内全市町村長からの支持・推薦を受け、組織力を最大限に活かしました。一方、石川県議会議員を辞職して挑んだ川裕一郎氏は、谷本県政の批判や脱原発などを訴えましたが、知名度や組織力で現職に及ばず、支持を全県に広げることができませんでした。3度目の挑戦となった木村吉伸氏は、多選批判や脱原発などを訴え、前回よりも得票を伸ばしましたが、当選には至りませんでした。争点の一つとされた志賀原発問題については、川氏と木村氏が明確な反対姿勢を示したものの、谷本氏が「安全確認が最優先」と述べるに留まったため、大きな論争にはなりませんでした。

この選挙により、谷本正憲氏が石川県知事として異例の長期政権を継続することが決定しました。

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