2015年のテレビ (日本)

2015年のテレビ業界：変革と競争の波

2015年の日本のテレビ業界は、視聴者ニーズの多様化と視聴率競争の激化を背景に、大きな変革期を迎えた一年でした。従来の放送の枠にとどまらず、デジタル化への対応や新しい視聴スタイルの模索が活発に行われました。

大規模な番組改編と枠の再編

各キー局は、視聴率の回復と獲得を目指し、番組編成の大幅な刷新に踏み切りました。特に、平日昼から夜にかけての帯番組やゴールデンタイムの改編が目立ちました。

フジテレビ は、平日午後から夕方、そして深夜にかけての情報番組枠を全面リニューアル。「直撃LIVE グッディ!」や新夕方ニュース「みんなのニュース」などを開始しましたが、視聴率面では厳しい状況が続きました。
TBS は、半世紀以上にわたり親しまれてきた月曜20時台の連続ドラマ枠（「月曜ミステリーシアター」）を廃止し、バラエティ番組を編成しました。
テレビ朝日 も、月曜日のゴールデンタイムを改編し、深夜帯で人気だった「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」や「しくじり先生 俺みたいになるな!!」といった番組をプライムタイムに昇格させました。
NHK では、大河ドラマ「花燃ゆ」がスタート。連続テレビ小説は、前期に「まれ」、後期に「あさが来た」が放送され、特に「あさが来た」は高い視聴率を記録し、社会現象となりました。

注目番組の節目と司会交代

多くの長寿番組や人気番組が、放送の節目を迎えました。「徹子の部屋」は、放送開始から10000回を達成し、テレビ史に残る記録を樹立しました。テレビ東京では、子供向け番組「のりスタ」シリーズが15年の歴史に、紀行番組「いい旅」シリーズ（前身番組含む）が29年の歴史にそれぞれ幕を下ろしました。フジテレビの夕方ニュース「FNNスーパーニュース」も17年の歴史に終止符を打ち、後継番組「みんなのニュース」へと引き継がれました。国民的アニメ「サザエさん」では、初回放送から磯野フネ役を務めてきた声優・麻生美代子さんが高齢を理由に降板を発表し、新たな声優へとバトンタッチされました。また、「出没!アド街ック天国」では、放送1000回を機に長年司会を務めた愛川欽也さんが勇退し、井ノ原快彦さんに引き継がれました。

報道体制と社会的な動き

国内外で発生した重大事態に際しては、テレビ各局は速報体制を敷き、報道特別番組を編成しました。過激派組織ISILによる日本人拘束事件や、台風・豪雨に伴う大規模水害など、緊急性の高いニュースが優先され、一部の通常番組が急遽休止や放送変更となる対応が取られました。放送倫理・番組向上機構（BPO）に関連する報道も注目され、NHK「クローズアップ現代」におけるやらせ疑惑の中間報告や、TBS「アッコにおまかせ!」への人権侵害勧告などが報じられました。また、テレビの「顔」となるニュースキャスターの動向も変化が見られ、テレビ朝日「報道ステーション」メインキャスターの古舘伊知郎さんや、TBS「NEWS23」のニュース解説担当・岸井成格さんが、翌年春での番組降板を発表しました。

デジタル化と新しい視聴体験

インターネットを利用した新しい視聴スタイルの普及に向けた動きが加速しました。フジテレビなどが一部の番組を放送後、無料でインターネット配信するサービスを開始。秋には、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビの在京民放5社共同による公式テレビポータル「TVer」の試験運用がスタートし、テレビ放送とインターネット配信の連携が本格化する兆しを見せました。技術面では、2011年の地上アナログ放送終了時から続けられてきた、地上デジタル放送のデジアナ変換が3月末で全国的に終了しました。次世代放送に向けた動きとしては、スカパーJSATが4K専門チャンネルを開局しましたが、モバイル向け多チャンネル放送のNOTTVは、翌年の事業終了を発表するなど、新しい技術やサービスが全て成功するわけではない現実も示されました。

テレビ界を彩った人々、そして別れ

テレビ界を長年支えてきた多くの著名人が、この世を去りました。俳優でテレビ司会者としても活躍した愛川欽也さん、「ゲゲゲの鬼太郎」などの作品で知られる漫画家で、テレビドラマ化やドキュメンタリーのモデルにもなった水木しげるさん、食生活ジャーナリストの岸朝子さん、女優の川島なお美さんなど、多くの人々に親しまれた方々の訃報が相次ぎ、テレビ界と視聴者に大きな喪失感を与えました。その一方で、多くの新しいアナウンサーやタレントが番組に起用され、世代交代や新たな才能の登場が進みました。

視聴率競争の現実

ビデオリサーチの年間視聴率（関東地区・世帯）では、日本テレビが全日、ゴールデン、プライムタイムのすべてで首位を獲得し、2年連続の三冠王を達成するなど、強さを維持しました。対照的に、フジテレビは年間を通じて視聴率の低迷が続き、特にゴールデン・プライムタイムで民放4位に転落するなど、厳しい状況が浮き彫りとなりました。

その他の出来事

番組制作上の問題や不祥事も発生しました。TBSのバラエティ番組「水曜日のダウンタウン」や情報番組「水トク!」で、事実と異なる、あるいは誤解を招く表現があったとして謝罪に至るケースがありました。読売テレビでは放送中の番組で無関係の映像が流れる放送事故が発生。また、お笑いコンビ・キングオブコメディのメンバーが不祥事で逮捕・解雇され、年末年始の番組出演が急遽見送られるという出来事もありました。

2015年は、視聴者ニーズの多様化や技術革新が進む中で、テレビ業界が構造的な変革を強く求められ、各局が様々な試みを重ねた一年であったと言えるでしょう。番組編成の大きな変化、新しい配信サービスの台頭、そして業界内外で起こる多くの出来事が、この年のテレビシーンを多角的に彩りました。

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