2016年の国際連合事務総長の選出

2016年国連事務総長選出の詳細

2016年には、国際連合事務総長の選出が行われ、アントニオ・グテーレスが第9代国連事務総長に選ばれました。選挙プロセスはそれまでに比べてはるかに透明性のあるものであり、一般の推薦を受け付け、候補者はテレビ討論会に参加するなど、開かれた形で進められました。

選出プロセス

選挙は2016年の7月21日から10月5日まで実施され、安全保障理事会において6回の事前投票が行われました。その中で、ポルトガルの元首相であるアントニオ・グテーレスが全てのラウンドで先行し、最終ラウンドでは奨励票13、落胆票0、棄権2という結果を得ました。これを受けて安全保障理事会は全会一致でグテーレスを国連総会に推薦し、10月13日には総会も満場一致で彼を正式に事務総長に選出しました。

今回の選考は、過去の選出に比べると特に開かれていたと評価されています。事前投票においては、国連加盟国からの候補者推薦が促され、またテレビ討論会を通じて候補者のビジョンを問う機会が設けられました。しかし、依然として透明性についての不満も残りました。

事務総長選出のルールと背景

実は、国連事務総長の選出に関する正式な規則はほとんど存在せず、国際連合憲章第97条では「事務総長は、安全保障理事会の勧告に基づき総会が任命する」とのみ定められています。このため、事務総長候補の推薦権を持つ安全保障理事会では、常任理事国5か国が拒否権を行使できる影響力を持ちます。

これまでに女性が事務総長に就任したことはなく、また東ヨーロッパグループ出身者も事務総長になったことがないため、2016年の選考では女性候補と東欧出身者が優位と見られましたが、最終的にはそれらの候補者が相殺され、グテーレスが選出されました。

改革の試み

従来の選出過程は、ローマ教皇のコンクラーヴェに例えられるほど封じ込められたもので、立候補を希望する外交官は事前に話を通す必要がありました。これに対する批判もあり、国連のリーダーシップ選出に対する透明性の必要性が高まっていました。2016年、サイモン・チェスターマンが指摘したように、重要な組織でのリーダー選出において最低限の共通項では不十分だという意見も強まりました。

安全保障理事会や総会は、事務総長選出のプロセスを透明で開かれたものにするため様々な措置を講じました。代表的なものとして、自らの目標について質問に答えるテレビ討論への参加が挙げられます。しかしながら、事前投票の詳細は依然として非公開のままで、国連の透明性向上に向けた期待には十分に応えられなかったとの声もありました。

候補者の動向

事前投票が6回行われ、その中でアントニオ・グテーレスがリードを保つ一方、他の候補者たちは各自辞退することになりました。2016年7月にはオーストラリアのケビン・ラッド元首相が立候補しようとしましたが、政府の支持を得られずに撤回せざるを得ない状況となりました。

最終的に、2016年10月6日には安全保障理事会が決議2311を満場一致で採択し、10月13日には国連総会もグテーレスを事務総長に正式に任命する手続きを進めました。そして、2017年1月1日からの任期がスタートする形となりました。これにより、国連新体制の誕生を迎え、今後の国際情勢への対応が期待されることとなりました。

これらの選出プロセスや改革の流れは、国連の透明性や民主性への歩み寄りを示す重要な一歩として記憶されることになるでしょう。

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