2016年新潟県知事選挙

2016年新潟県知事選挙

概要

2016年（平成28年）10月16日に投開票が実施された新潟県知事選挙は、現職の泉田裕彦知事が任期満了に伴い退任したことを受け、新たな県政のリーダーを選出するために行われた選挙である。当初、泉田知事は県議会での答弁の中で4期目を目指して立候補する意向を一度は明らかにしていた。しかし、選挙告示を前にした8月30日、突如として出馬を取りやめ、今期限りで知事を勇退することを発表した。この現職の撤退により、選挙戦は4名の無所属新人候補によって争われることとなった。

選挙の背景と主な争点

この選挙で最も注目されたのは、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原子力発電所の今後について、候補者がどのような姿勢を示すかという点であった。現職の泉田知事は、福島第一原子力発電所事故検証総括委員会の検証が終わるまでは再稼働議論に応じないという慎重な立場をとっており、この「泉田路線」を継承するかが主要な争点の一つとなった。選挙戦では、泉田県政の原発に対する慎重な姿勢を引き継ぐことを主張した米山隆一氏と、前長岡市長として地域からの支持を集めた森民夫氏が有力候補として挙げられ、事実上の主要な対決軸となった。

選挙戦の構図

候補者間の支援体制は明確に分かれた。米山隆一氏は、日本共産党、自由党、社会民主党といった国政レベルの野党3党に加え、新社会党や緑の党といった勢力からの推薦を得て、原発再稼働に慎重な立場を前面に打ち出した。一方、前長岡市長の森民夫氏は、自由民主党と公明党の与党勢力、さらには労働組合のナショナルセンターである連合の新潟県支部（連合新潟）からの推薦を受け、県政の刷新や地域活性化などを訴えた。一方、民進党は独自の候補擁立を見送り、党としては自主投票の方針を決定した。しかし、党代表を務める蓮舫氏をはじめ、多くの所属国会議員や地方議員が米山氏の応援に駆けつけるなど、事実上の支援を行った。

選挙データと結果

選挙の告示日は2016年9月29日、投開票日は10月16日であった。投票時間は午前7時から午後8時まで設定され、期日前投票は告示日の翌日である9月30日から投票日前日の10月15日まで行われた。この知事選挙と同時に、長岡市長選挙、阿賀野市議会議員選挙が執行されたほか、長岡市議会議員補欠選挙も同日選挙の対象とされていたが、こちらは立候補者が定数内であったため無投票となった。

投開票の結果、無所属新人の米山隆一氏が、同じく無所属新人の森民夫氏ら他の候補者を破り、初当選を果たした。選挙当日有権者数は1,944,049人。最終投票率は53.05%となり、前回（2012年）の知事選挙の投票率43.95%と比較して9.1ポイント増加した。この高い投票率は、現職知事の交代や、柏崎刈羽原発に関する県民の関心の高まりを反映したものとみられる。

選挙に至る経緯

選挙への動きは、まず現職の泉田知事が2016年2月26日の県議会本会議で、4選への出馬意向を表明したことに始まる。その後、8月6日には県内の首長有志が森民夫氏に対して知事選出馬を要請し、森氏も8月10日に正式に出馬を表明した。しかし、8月30日に泉田知事が出馬取りやめを表明したことで、選挙戦の構図は大きく変化した。主要各党の動きも活発化し、9月14日には自民党新潟県連が森氏の推薦を決定。民進党新潟県連は9月17日に独自候補の擁立断念と森氏への推薦見送りを決め、自主投票とした。一方、米山隆一氏は9月23日、民進党を離党した上で、共産党、当時の生活の党、社民党の推薦を得て出馬することを表明。民進党本部もこれを受けて、米山氏が予定していた衆議院新潟5区の公認内定を取り消した。そして9月29日に告示を迎え、届け出を行った4名の新人候補によって選挙戦が本格化した。

この選挙は、現職の突然の不出馬という異例の展開と、県政の重要課題を巡る与野党対決の構図が明確になったことから、全国的に大きな注目を集めた。

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