2017年ドイツ連邦議会選挙

2017年ドイツ連邦議会選挙：難民問題が問われた政権の行方

2017年9月24日に行われたドイツ連邦議会選挙は、アンゲラ・メルケル首相の去就と、2015年の欧州難民危機以降の高まった難民問題への対応が大きな争点となりました。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟（CDU）と姉妹政党であるキリスト教社会同盟（CSU）の連合、および社会民主党（SPD）による連立政権は、難民受け入れ政策をめぐって国民の間に賛否両論を巻き起こしていました。この選挙は、その政策に対する国民の評価を問うものとなりました。

選挙制度と主要政党

ドイツ連邦議会選挙は、小選挙区比例代表併用制を採用しています。有権者は、選挙区候補者への投票と政党名簿への投票の二票を投じます。小選挙区では最多得票を得た候補が当選し、全体議席は政党名簿投票の結果に基づいて配分されます。ただし、政党名簿投票で有効得票総数の5％以上を獲得、または小選挙区で3名以上の当選者を出した政党のみに議席が配分される仕組みです。

主要政党は以下の通りです。

与党:
キリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟 (CDU/CSU)：中道右派政党。メルケル首相が所属。
ドイツ社会民主党 (SPD)：中道左派政党。
野党:
左翼党 (Die Linke)：旧東ドイツの支配政党の後継政党を含む左派政党。
同盟90/緑の党|同盟90_緑の党 (Bündnis 90/Die Grünen)：環境問題を重視する政党。
自由民主党 (FDP)：自由主義を掲げる中道政党。前回選挙では議席を失っていた。
ドイツのための選択肢 (AfD)：2013年結成の右派政党。EU離脱や難民受け入れ反対を主張。

選挙結果とその後

選挙の結果、CDU/CSUは第1党を維持しましたが、得票率は1949年以来最低となり、議席数も減少しました。SPDも得票率が1933年以来最低となり、議席数を大幅に減らしました。一方、難民受け入れに反対するAfDが躍進し、初めて連邦議会に議席を獲得しました。FDPも4年ぶりに議席を回復しました。

この結果、1953年以来初めて7党が連邦議会に議席を持つという状況となりました。CDU/CSUとSPDの議席減少は、メルケル政権の難民政策への批判の高まりを示唆しており、ドイツの政界に大きな地殻変動をもたらしました。連立交渉は難航し、最終的にCDU/CSUとSPDによる大連立政権が再び発足することとなりましたが、その安定性は依然として課題となっています。AfDの台頭は、ドイツ社会における右派ポピュリズムの高まりを示し、今後のドイツ政治に大きな影響を与えると予想されています。

選挙後、ドイツの政治状況は大きく変化しました。難民問題への対応、EUにおけるドイツの役割、そして国内の社会構造の変化など、様々な課題がドイツ社会の前に提示されました。2017年ドイツ連邦議会選挙は、これらの課題と向き合う転換期となったと言えるでしょう。

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