2017年世界柔道選手権大会

2017年世界柔道選手権大会：ブダペストの熱戦と新時代の幕開け

2017年、柔道界はハンガリーの首都ブダペストに熱い視線を注ぎました。8月28日から9月3日にかけて開催された第34回世界柔道選手権大会は、新たな試みと興奮に満ちた大会となりました。ハンガリー初の世界選手権開催というだけでなく、2020年東京オリンピックを見据えた革新的な変更が導入されたのです。

大会概要

ブダペスト・スポーツアリーナを舞台に、世界各国の強豪が集結。男女それぞれ7階級の個人戦に加え、今大会からオリンピックを見据えた男女混合団体戦が導入されました。従来の男女別5人制団体戦とは異なり、男子73kg級、90kg級、90kg超級、女子57kg級、70kg級、70kg超級という階級構成で争われました。

男女混合団体戦の新ルール

団体戦のポイントシステムも特徴的でした。一本勝ちは10点、技ありによる優勢勝ちは1点、指導差による勝利は0点。勝利数または合計ポイントが同点の場合は、代表戦が行われます。代表戦はゴールデンスコア（GS）方式で、どちらかが先に技のポイントか指導を得た時点で決着がつくという、緊張感あふれるルールでした。

各チームは各階級2名まで選手を登録でき、個人戦出場者は2kg以内の体重超過が認められる一方、団体戦のみ出場する選手には体重超過が認められないという、細かい規定もありました。

大会結果

(大会結果の表は省略)

新ルール導入

今大会では、国際柔道連盟（IJF）が新たな試合審判規定を試験的に導入しました。これは、2017年1月のアフリカオープン・チュニスから適用されたもので、その結果を検証した上で正式導入が決定される予定でした。

主な変更点

試合時間：男女とも4分に短縮（男子はこれまで5分）。
技の評価：一本と技ありのみ。有効は廃止。
抑え込み：技ありは15秒から10秒に短縮。
指導：指導4で反則負けから、指導3で反則負けに変更。
本戦：指導差による勝利は認められず、GSに突入。
GS：技のポイントか指導差で勝敗決定。
下半身への手・腕の使用：初回は指導、2回目で反則負け。
変則組み手：即座に攻撃しない場合は指導。
消極的な姿勢：指導。
危険な技：一挙に体を捨てる脇固めや、肘を伸ばす形の袖釣込腰は反則負け。
場外逃避：反則負け。
返し技：コントロールが不十分な場合は無効。
* 時間稼ぎ：柔道衣や帯を乱した場合は指導。

これらの変更は、より積極的でスピーディーな柔道を目指すためのものでした。

賞金

今大会から賞金が増額され、個人戦優勝者には2万800ドル、団体戦優勝チームには7万2千ドルが贈られました。これは選手たちのモチベーション向上に大きく貢献したと言えるでしょう。

大会マスコット

大会を盛り上げたのは、レトリバー犬の「Judoggy」でした。彼は2013年のブダペスト欧州選手権でもマスコットを務めており、地元ファンにはお馴染みの存在です。

要人来訪

柔道愛好家として知られるロシアのプーチン大統領、モンゴルのバトトルガ大統領、そしてハンガリーのオルバン首相が開会式に出席し、決勝ラウンドを観戦しました。さらに、大会最終日にはIOCのバッハ会長も訪れ、男女混合団体戦の表彰式で日本チームにメダルを授与しました。これらの要人の来訪は、大会の国際的な重要性を示すものでした。

日本での放送

日本では、フジテレビ系列で大会の模様が放送されました。野村忠宏氏がナビゲーターを務め、平岡拓晃氏、秋本啓之氏、佐藤愛子氏が解説を担当。また、J SPORTSでは全試合の録画放送が行われ、柏崎克彦氏、山田利彦氏、西田優香氏らが解説を務めました。

2017年世界柔道選手権大会は、新ルールの導入や男女混合団体戦の実施、そして各国の要人が訪れるなど、多くの話題に彩られた大会となりました。ブダペストの地で繰り広げられた熱戦は、柔道界の新たな時代を告げるものとなったのです。

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