2019年広島市長選挙

2019年広島市長選挙

この選挙は、2019年4月7日に執行された広島県の県庁所在地である広島市の市長を選出するための選挙です。同日に日本各地で実施された第19回統一地方選挙の一部として行われました。

選挙の背景と構図

この選挙は、当時の市長であった松井一実氏の2期8年にわたる任期満了に伴い実施されました。松井氏は3期目を目指して立候補し、これまでの自身の市政運営に対する信任を問う選挙戦となりました。現職の松井氏を支援するため、自由民主党、公明党、国民民主党の各党が推薦を決定し、体制を固めました。

これに対して、新たな市政のあり方を目指す立場から、無所属の新人候補2名が立候補しました。一人はコンサルタント業に携わる金子和宏氏、もう一人は市民団体の代表を務める川后和幸氏です。川后氏は日本共産党からの推薦を受けての出馬でした。このように、現職候補に新人候補2名が挑むという構図で、選挙戦は展開されました。

主な争点

選挙戦において、候補者間で様々な論点が提示され、有権者の判断が問われました。主要な争点として挙げられたのは、多岐にわたる松井市政の実績評価でした。

特に焦点となったのは、広島市の将来像に関わる大型事業です。具体的には、市内中心部への新しいサッカースタジアム建設の是非や、都市部の交通渋滞緩和および郊外地域へのアクセス向上を目指す新交通システム「アストラムライン」の延伸計画の推進方針などが議論されました。

また、被爆地である広島市として重要な役割を担う、核兵器廃絶に向けた取り組みについても論点となりました。平和首長会議などを通じた国際的な平和推進活動や、具体的な核廃絶への貢献策について、候補者それぞれの考えや姿勢が示されました。

さらに、選挙の前年、2018年に発生し、広島市を含む中国地方に甚大な被害をもたらした西日本豪雨からの復旧・復興に向けた取り組みも、市民生活に直結する喫緊の課題として重要な争点となりました。被災地の復興の加速化、防災・減災対策の強化、被災者支援の充実などについて、各候補者が具体的な政策を訴えました。

これらの争点を通じて、候補者は自らの政策理念や市政に対するビジョンを有権者に訴えかけ、支持を求めました。

立候補者

この選挙に立候補を届け出たのは、以下の3名です。（※届け出順は考慮していません）

松井 一実
現職（立候補届出当時）
党派：無所属
推薦：自由民主党、公明党、国民民主党
経歴：市長（当時）
金子 和宏
新人
党派：無所属
経歴：コンサルタント業
川后 和幸
新人
党派：無所属
推薦：日本共産党
経歴：市民団体代表

選挙結果

2019年4月7日に行われた投開票の結果、現職の松井一実氏が他の候補者を退け、当選を果たしました。これにより、松井氏は3期目の広島市長を務めることとなりました。

この選挙における当日有権者数は966,547人でした。最終的な投票率は36.62%となり、これは前回（2015年）の市長選挙と比較して6.12ポイント低下した数値です。投票率の低下は、有権者の市政への関心や、候補者間の論戦が十分に浸透したかといった課題を示す側面もあると言えます。

松井氏の3選は、これまでの市政運営、特に大型事業の推進や西日本豪雨からの復旧・復興への取り組み、核兵器廃絶に向けた活動などが、一定程度有権者から評価された結果であると分析できます。選挙戦で議論された様々な課題や、示された市民の意思は、今後の広島市政の運営に反映されていくことになります。

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