2020年 五月の恋

『2020年 五月の恋』

『2020年 五月の恋』は、WOWOWが制作した日本のテレビドラマで、全4話から構成されています。この作品は、2020年5月28日から5月31日までYouTubeのWOWOWオフィシャルチャンネルで、そして6月2日から6月5日までWOWOWプライムで放送されました。コロナウイルスの影響によりリモートワークを活用して制作された本作は、間違い電話をきっかけに再び連絡を取り合う元夫婦の心の交流を描いています。脚本は岡田惠和、監督は松永大司が手掛け、吉田羊と大泉洋が共演しています。また、2020年東京ドラマアウォードにおいては、単発ドラマ部門の優秀賞を受賞しています。

制作の背景

このドラマは、コロナ禍の影響下で新たな表現手段を探し求めていた吉田羊が、元々の計画であったドラマ撮影が中止となったことから企画が始まりました。彼女が5月6日に参加したリモートリーディングの反響を受け、視聴者に「心の栄養」を届けたいとの意欲から、脚本家やプロデューサーに相談を持ちかけたことが、このショートドラマ制作のきっかけとなりました。岡田との電話を通じて、元夫婦の会話劇を10日間で仕上げるというスピード感で制作が進められたのです。

新しい撮影方法

制作には通常のテレビドラマスタッフに加え、映画や音楽ライブ中継の専門スタッフも参加。主演の吉田と大泉は、東京都内に設けられた16km離れた2つのスタジオで、同時に撮影されました。監督はWOWOW本社にいて、リアルタイムでカメラの映像を見ながら指示を出すという、リモート演出の手法が採用されました。この方法により、二人は物理的には離れた場所にいたものの、会話は電話回線を使用し、リアルなコミュニケーションを模倣することができました。

収録は各話をワンカットで撮影する形式で行われ、リハーサルを通じて新たな演技の可能性を切り開いていきました。スタッフが完全に不在のセットで、演者が自らの意識を取り払うことで、今までにない演技のアプローチが生まれたのです。

あらすじ

2020年5月、東京では新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められる中、ユキコは大手スーパーマーケットの売り場責任者として働き続けています。一方、モトオは中堅設計会社の営業マンで、自宅待機での仕事が上手くいかずに苦しんでいました。彼らは約4年前に離婚した元夫婦であり、それぞれが独身のバツイチです。

ある日、モトオは間違い電話をユキコにかけてしまい、離婚以来の再会を果たします。二人は電話越しに思わぬ再会をし、少しずつ心を通わせていく様子が描かれ、視聴者に心温まるストーリーを提供しています。

まとめ

『2020年 五月の恋』は、コロナ禍に生まれたリモート制作の中で、新たな形のドラマがどのように進化し得るかを示した作品です。このドラマは技術の制約を逆手に取り、演者同士の距離感を逆に演技の新しい解釈へと導く試みを行っており、その結果、多くの視聴者に感動を与えました。特に、吉田羊と大泉洋のコンビによる掛け合いは、心に残るものとなっています。

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