2020年の台風

2020年の台風に関する詳細な記録

2020年は、太平洋北西部と南シナ海で発生した熱帯低気圧、いわゆる台風の発生数が平年よりも少ない年でした。日本の気象庁のデータに基づき、一部合同台風警報センター（JTWC）の情報も参照しながら、2020年の台風について詳しく見ていきましょう。

2020年の台風発生状況

2020年に発生した台風は23個で、平年の25.6個を下回りました。日本への影響も少なく、接近数は平年の11.4個に対して7個、本土への上陸は2008年以来12年ぶりに0個となりました（平年は2.7個）。

台風発生の遅れと7月の異例

台風1号の発生は5月12日と、統計開始以来8番目に遅い記録となりました。通常、台風1号は3月頃に発生するため、この年は大幅な遅れが見られました。その後も発生ペースは遅く、7月には統計開始以来初めて台風が1つも発生しないという異例の事態となりました。これは、太平洋赤道域でラニーニャ現象が急速に発生し、太平洋の広範囲で上昇流が弱まり、下降気流が卓越したことが原因と考えられています。また、太平洋高気圧が西に張り出し、北西太平洋で台風が発生しにくい状態も影響しました。

8月以降の発生ペース上昇

7月の沈静状態から一転し、8月になると台風の発生ペースが上昇しました。8月1日に台風3号が発生しましたが、これは統計史上2番目に遅い記録です。また、8月1日には2つの台風が連続して発生し、8月全体の台風発生数は8個となりました。

日本への影響

日本への接近は少なかったものの、台風10号は非常に強い勢力で西日本に接近しました。特別警報級の勢力で直撃する可能性も指摘されましたが、実際には特別警報は発表されませんでした。しかし、九州地方では暴風による被害が発生しました。

月別の台風発生数

1月：0個
2月：0個
3月：0個
4月：0個
5月：1個
6月：1個
7月：0個
8月：8個
9月：5個
10月：7個
11月：2個
12月：1個

主な台風の活動状況

台風1号（ヴォンフォン）

5月12日に発生、フィリピンに上陸。
統計開始以来8番目に遅い発生。
最大風速45m/sの非常に強い勢力でフィリピンに上陸。
フィリピンでは新型コロナウイルス流行下の避難を余儀なくされた。
熱帯低気圧化した後、沖縄付近を通過し、西日本で大雨をもたらした。

台風2号（ヌーリ）

6月12日に発生、南シナ海で熱帯低気圧に変わった。
香港で大雨による洪水が発生。
この台風の後、約1ヶ月半台風が発生しなかった。

台風3号（シンラコウ）

8月1日に発生、ベトナムに上陸。
統計史上2番目に遅い3号の発生。
発生後3時間で「超大型」の台風になった。
ベトナムで6人の死者を出した。

台風4号（ハグピート）

8月1日に発生、沖縄を暴風域に巻き込み、中国に上陸。
八重山地方で暴風による被害が発生。
台湾や中国で大雨や停電などの被害が発生。
朝鮮半島でも大雨による被害が発生。

台風5号（チャンミー）

8月9日に発生、沖縄に接近。
沖縄や九州で荒れた天気、交通機関に影響。

台風6号（メーカラー）

8月10日に発生、台湾に接近後、中国に上陸。
中国で交通や電力設備に影響。

台風7号（ヒーゴス）

8月18日に発生、中国華南に上陸。

台風8号（バービー）

8月22日に発生、八重山地方を暴風域に巻き込み、北朝鮮に上陸。
沖縄で道路冠水や倒木などの被害。

台風9号（メイサーク）

8月28日に発生、沖縄に接近し、朝鮮半島に上陸。
沖縄県で最大瞬間風速43.1m/sを記録。
長崎県五島空港で44.8m/sを記録。
フェーン現象により新潟県で40℃台を記録。
家畜運搬船が沈没。

台風10号（ハイシェン）

9月1日に発生、過去最強クラスの勢力で西日本に接近。
気象庁が特別警報を発表する可能性を示唆。
奄美諸島に接近した時点で勢力は弱まる。
朝鮮半島に上陸後、温帯低気圧に。
事後解析で猛烈な勢力に上方修正。

台風11号（ノウル）

9月16日に発生、ベトナムに上陸。
ベトナムで死傷者が出た。

台風12号（ドルフィン）

9月21日に発生、関東地方に接近後、温帯低気圧に。

台風13号（クジラ）

9月27日に発生、日本のはるか東で温帯低気圧に。

台風14号（チャンホン）

10月5日に発生、伊豆諸島に接近。
伊豆諸島で記録的な大雨、土砂災害が発生。

台風15号（リンファ）

10月11日に発生、ベトナムに上陸。

台風16号（ナンカー）

10月12日に発生、ベトナムに上陸。
香港で警報が発令。

台風17号（ソウデル）

10月20日に発生、フィリピンに上陸後、南シナ海へ。

台風18号（モラヴェ）

10月25日に発生、フィリピン・ベトナムに上陸。
フィリピンとベトナムで死者が出た。

台風19号（コーニー）

10月29日に発生、カテゴリー5の猛烈な勢力でフィリピンに上陸。
2018年以来の「猛烈な」勢力での上陸。

台風20号（アッサニー）

10月29日に発生、沖縄の南で複雑な動きをした。
事後解析で11月に発生したと変更された。

台風21号（アータウ）

11月9日に発生、ベトナムに上陸。

台風22号（ヴァムコー）

11月9日に発生、ルソン島に上陸後、ベトナムに上陸。

台風23号（クロヴァン）

12月20日に発生、南シナ海で熱帯低気圧に。

気象庁が「台風」に分類しなかった熱帯低気圧

気象庁が台風として分類しなかったものの、JTWCが熱帯低気圧として記録したものがいくつかあります。これらの熱帯低気圧も、地域によっては影響を及ぼしました。

TD（カリーナ）：台湾に接近
JMA TD 04：日本のはるか東南東で発生
TD 06W（ジェナー）：小笠原諸島近海で発生
TD 12W：停滞前線に取り込まれ温帯低気圧に
JMA TD 18
TD（オフェル）
TD 20W
JMA TD 30

まとめ

2020年の台風は、発生数の少なさと、7月の異例な静けさが特徴的でした。一方で、発生した台風の中には、非常に強い勢力で接近したものもあり、甚大な被害をもたらしました。これらの記録は、今後の防災対策を考える上で重要な資料となります。

もう一度検索