2020年の映画

2020年の映画業界総括

2020年は、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で、映画業界にとって特異な年となりました。この年は、製作や劇場公開が次々と延期され、多くの映画館が閉鎖されるという未曾有の状況に直面しました。

世界的な影響

新型コロナウイルスは、映画制作のスケジュールや公開に甚大な影響を及ぼしました。特に3月にかけては、各国での外出制限が影響し、中国では映画館が閉鎖されたことで、「ジョジョ・ラビット」などの公開が中止されました。アメリカでも大手映画館チェーンが休業を強いられ、興行収入が大幅に減少しました。特に3月中旬の週末興行収入が過去20年で最低を記録するなど、その影響が顕著に現れました。映画業界全体での損失は200億ドルに達すると予測されており、復興への道筋は不透明なものとなりました。

興行収入の減少

2020年、中国の映画市場は約3300億円の興行収入を上げ、北米を抜いて初めて世界一となりましたが、他の地域では大きな打撃を受けました。日本の映画業界では、入場者数が前年比54.5%、興行収入が54.9%減少し、どちらも記録的な低水準となりました。これにより多くの映画が公開延期や中止を余儀なくされました。

映画賞の受賞

2020年の映画賞において、注目された作品には「1917 命をかけた伝令」や「パラサイト 半地下の家族」があります。1月には第77回ゴールデングローブ賞で「1917」がドラマ部門の作品賞を受賞し、また「パラサイト」はアカデミー賞で最多4部門を受賞しました。特に「パラサイト」は、外国語映画として初めて作品賞を獲得し、韓国映画の世界的な評価を高めました。

日本国内の影響

日本においても、新型コロナウイルスは映画界に深刻な影響を与えました。数々の公開予定映画が延期され、映画雑誌も休刊する事態に。さらに、試写会やイベントも中止され、映像関連企業の倒産が相次ぎました。日本映画製作者連盟の発表によると、3月の興行収入は前年同月比の70%減少、これは東日本大震災の影響を受けた2011年3月の半分にも及びませんでした。

新たな動きと対応

映画の公開方法も変わり、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどのストリーミングサービスでの配信が進む中、多くの映画が劇場公開と並行してオンライン配信を実施しました。この取り組みは、鑑賞のスタイルを変える大きな転機となりました。また、特にミニシアターではクラウドファンディングを通じた支援活動が行われ、業界全体での連携が強まりました。

映画業界の未来

2020年は、映画業界に多くの試練をもたらしましたが、同時に新たな形での映画鑑賞を促進する契機ともなりました。来る2021年は、より柔軟な制作や公開の方法が模索されることでしょう。業界がどのように復活していくのか、その動向に注目が集まります。

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