1917 命をかけた伝令

『1917 命をかけた伝令』は、2019年に公開されたサム・メンデス監督による戦争映画で、イギリスとアメリカ合衆国の共同制作です。この映画は、第一次世界大戦の最中、特に西部戦線での出来事を描いています。物語は1917年4月6日、イギリス軍の若き兵士トムとウィルが重要な任務を遂行する様子を、まるで全編がワンカットで撮影されたかのように描写しています。

物語の中心は、ドイツ軍の戦略的後退に関する情報をデヴォンシャー連隊第2大隊に伝えるという任務です。電話線が切断されたため、エリンモア将軍はトムとウィルに現地まで行き、作戦中止の指示を伝えて欲しいと頼みます。この任務の成功がなければ、1600人もの兵士が犠牲になりかねない状況であり、その中にはトムの兄ジョセフも含まれています。このため、二人は屍臭漂う無人地帯を危険を冒しながら進んでいきます。

映画は、メンデス監督自身の祖父がイギリス軍の伝令としての経験を基にしており、フィクションでありながら実際の戦争の記憶や感情を強く反映しています。また、サウンドやビジュアルの工夫が際立っており、IMAXやドルビーシネマなどの技術を駆使している点も目を引きます。

登場人物とキャスト

メインキャラクターには、ジョージ・マッケイが演じるウィリアム・“ウィル”・スコフィールドと、ディーン＝チャールズ・チャップマンが演じるトム・ブレイクがいます。二人は命がけで任務を遂行する戦友であり、また過酷な状況に置かれた兵士の姿を象徴しています。そのほか、コリン・ファースがエリンモア将軍役、ベネディクト・カンバーバッチがマッケンジー中佐を演じる等、豪華なキャストが揃っています。

制作と撮影

本作の制作は2018年に始まり、撮影は2019年に行われました。全編ワンカットに見える手法は、複数の長回しを組み合わせることで成り立っています。撮影現場には、500人以上のエキストラが集まり、リアリティを追求しました。特に遺跡保護の観点から、撮影地選定にも慎重が期されたことが強調されています。

音楽と公開

音楽はトーマス・ニューマンが手掛けており、サウンドトラックは2019年末にリリースされました。映画のオフィシャル・トレイラーが公開されると、期待を寄せる観客の注目を集め、ロイヤル・フィルム・パフォーマンスでのプレミア上映を経て本格的に公開されました。

評価と受賞

映画は公開後、批評家から高い評価を受け、Rotten Tomatoesでは高い支持率を記録しました。また、第92回アカデミー賞では撮影賞、視覚効果賞、録音賞を受賞しており、その技術力が広く認められました。劇中の表現はリアルでありながらも、戦争の残酷さを伝える一方で、脚本の構成やキャラクターの心情も丁寧に描写されています。

『1917 命をかけた伝令』は、ただの戦争映画に留まらず、人間の苦悩と友情を深く掘り下げた作品として、多くの観客に深い感動を与えました。

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