2020年の鉄道

2020年の鉄道

2020年（令和2年）は、世界の鉄道にとって変化と試練が交錯した一年でした。新規路線の開業や延伸、駅の新設・改良など、鉄道ネットワークの拡充が進む一方で、自然災害や新型コロナウイルス感染症の世界的流行といった予期せぬ要因が運行や経営に大きな影響を与えました。ここでは、この一年間に国内外で発生した主要な鉄道関連の出来事を概観します。

ネットワークの拡充とサービス向上

この年、鉄道ネットワークの整備が進みました。日本では、JR山手線・京浜東北線に高輪ゲートウェイ駅が開業し、話題を集めました。他にも各地で新駅が開業し、既存路線の利便性が向上。京浜急行電鉄では主要駅を含む複数の駅名が変更されました。富山地方鉄道と富山ライトレールが合併し、富山駅での路面電車南北直通運転が実現したことも特筆されます。

海外でも、中国をはじめアジア各地で都市鉄道や高速鉄道の新規開業・延伸が多数行われ、ネットワークが飛躍的に拡大しました。欧州でも主要都市で延伸が見られました。一方で、利用状況の変化などにより、日本の札沼線一部区間などが廃止されています。

サービス面では、多くの鉄道事業者でダイヤ改正が実施され、輸送力増強などが図られました。また、JR西日本・四国でのICOCAエリア拡大や沖縄都市モノレールでのSuica導入など、交通系ICカードの利用可能範囲が広がり、利便性が向上しました。

災害、事故、パンデミックの影響

2020年は、自然災害が鉄道運行に甚大な被害をもたらした年です。特に7月の令和2年7月豪雨では、九州地方を中心に広範囲で土砂流入や線路流出、橋梁損壊が発生し、JR九州の肥薩線やくま川鉄道など多くの路線が長期運休となりました。復旧には時間を要し、年内、あるいはそれ以降も不通区間が残りました。一方、前年の台風被害からの復旧も進み、三陸鉄道リアス線やJR常磐線の被災区間が全線で運転を再開し、東日本大震災以来の全線復旧を果たしました。

主な事故としては、日本国内での脱線事故や、海外での脱線事故などが報告されています。

さらに、この年の鉄道運行に最も広範な影響を与えたのが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行です。旅客需要が激減したことで、国内外の多くの鉄道事業者で減便や運休が実施され、経営にも大きな影響が出ました。

新型車両の登場と引退

2020年も、新たな鉄道車両が登場しました。JR東日本E261系「サフィール踊り子」、JR西日本271系、近畿日本鉄道80000系「ひのとり」といった新型特急形車両がデビューし、注目を集めました。これらの車両は、そのデザインや機能が高く評価され、西武鉄道001系がブルーリボン賞、JR四国2700系がローレル賞を受賞するなど、各賞に輝いています。

一方で、多くの車両がその役目を終えました。JR東日本の251系「スーパービュー踊り子」やJR東海の700系新幹線などが定期運用を終了し、世代交代が進みました。引退車両の一部は地方私鉄に譲渡され、新たな活躍を始めています。

結論

2020年の鉄道界は、未曽有の事態への対応に追われながらも、インフラ整備や車両開発を着実に進めた一年でした。

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