2024年パリオリンピックの開会式

2024年パリオリンピック開会式：革新と波紋

2024年パリオリンピックの開会式は、7月26日19時30分（CEST）より、パリの中心を流れるセーヌ川とその周辺を舞台に開催されました。第33回オリンピック競技大会の幕開けを飾るこの式典は、オリンピック憲章に則り、エマニュエル・マクロン大統領の開会宣言によって正式に始まりました。総監督はトマ・ジョリー氏が務めました。

史上初の試み

今大会の開会式は、オリンピック史上初めて主要な競技場を使用せずに行われた点が特筆されます。大会組織委員会は、2021年12月13日に、セーヌ川を各国・地域の選手団が船で航行する入場行進を行うという計画を発表しました。オステルリッツ橋からイエナ橋までの区間を川下りするパレードは、街全体を競技場に見立てるという斬新なアイデアに基づいています。

競技場を使用しないことで、約60万人もの観客が一部無料を含む形で観戦できるというメリットが生まれましたが、同時に安全確保という大きな課題も浮上しました。当初の計画ではより多くの観客を動員する予定でしたが、警備やテロへの懸念から、観客数は約30万人に半減されました。

式典の構成

開会式は、以下の要素で構成されました。

プロローグ: サッカー選手のジネディーヌ・ヤジッド・ジダンが登場する映像が流れ、聖火リレーの様子が描かれました。
選手入場: 各国の選手団は船に乗ってセーヌ川を下り、フランス語と英語で国名がアナウンスされました。選手入場の合間にはショーが繰り広げられ、観客を飽きさせない工夫が凝らされました。
挨拶・開会宣言・五輪宣誓: パリ2024大会組織委員会会長のトニー・エスタンゲ氏、国際オリンピック委員会会長のトーマス・バッハ氏が開会挨拶を行い、エマニュエル・マクロン大統領が開会を宣言しました。五輪宣誓は、フランス選手団の旗手であるフローラン・マナドゥ選手とメリナ・ロベールミション選手が務めました。
聖火点灯・フィナーレ: 聖火は、柔道家のテディ・リネール選手と陸上短距離のマリー＝ジョゼ・ペレク選手によって点火され、聖火台は熱気球となって空中に舞い上がりました。フィナーレでは、カナダ人歌手のセリーヌ・ディオンが『愛の讃歌』を熱唱し、感動的な締めくくりとなりました。

物議を醸した演出

開会式の一部の演出は、論争を巻き起こしました。ヘヴィメタルバンド「ゴジラ」とオペラ歌手のコラボレーションや、ドラァグクイーンによる『最後の晩餐』のオマージュ、歌手のフィリップ・カトリーヌがディオニューソスに扮した姿などが、保守派やキリスト教右派から批判を浴びました。これらの演出は、「悪魔崇拝的」であるとか、「反キリスト教的」であるといった非難を受け、SNS上でも議論を呼びました。

国民の反応

パリ五輪組織委員会が行ったアンケート調査では、フランス国民の86％が開会式を成功だったと回答し、96％が開会式の出来に満足していると答えました。しかし、上記の論争からもわかるように、すべての人が開会式を好意的に受け止めたわけではありません。

まとめ

2024年パリオリンピックの開会式は、セーヌ川を舞台にした革新的な試みとして、オリンピック史に新たなページを刻みました。しかし、その斬新さゆえに論争も巻き起こし、賛否両論を呼んだことも事実です。開会式の成功は、今後のオリンピックのあり方に新たな視点を与えたと言えるでしょう。

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