26ばんめの秋

26ばんめの秋

「26ばんめの秋」（にじゅうろくばんめのあき）は、シンガーソングライター岡林信康が、1973年11月21日にCBS・ソニーからリリースしたシングルである。これは、彼がキングレコードからCBS・ソニーに移籍して初めて発表したシングル盤であり、松本隆がプロデュースしたアルバム『金色のライオン』と同日に発売された。

楽曲解説

26ばんめの秋

表題曲「26ばんめの秋」は、ある日ラジオから流れてきたボブ・ディランの楽曲「ビリー・ザ・キッド」に触発されて誕生した。岡林自身が語るところによれば、アコースティックギターのみのシンプルで牧歌的なメロディーと、力の抜けた素朴な歌唱を聴いた際に強い感銘を受け、その勢いのまま約30分という短時間で書き上げられたという。

制作当時の岡林は、都会での喧騒を離れ、田舎での暮らしを始めてからおよそ二年半が過ぎており、心にはある程度の落ち着きを取り戻しつつあった時期だった。また、偶然にも「ビリー・ザ・キッド」の歌詞に描かれているような出来事が、彼自身の身の上にも降りかかっていたという。

この曲が生まれた1973年、岡林は26歳を迎えていた。幼い頃から彼を育ててくれた祖母が一時危篤状態に陥り見舞った経験や、姉に第二子が誕生し、自分が叔父になったことを自覚したことなど、人生の節目とも言える個人的な出来事が重なっていた時期だった。そうした内省的な状況と、ラジオで聴いたディランの音楽が結びつき、「26ばんめの秋」は誕生した。

この曲が完成した時、岡林は「自分はまだ歌を作り、歌うことができる」という深い感動を覚えたと述べている。そして、「まだまだ歌いたい、書ける」という確信こそが、彼に再び本格的な歌手活動を行おうという決意を促す大きな契機となった。当初、この曲には「おばあちゃん」という仮題が付けられていたが、プロデューサーである松本隆の助言により、現在のタイトルに変更された。

あの娘と遠くまで

シングルのカップリング曲である「あの娘と遠くまで」は、岡林が当時送っていた山村での生活を「あの娘」という存在に重ね合わせて描いた楽曲である。彼は、山村での暮らしそのものが自分を新しく生まれ変わらせてくれるのではないか、という期待や願いをこの曲に込めた。しかし、この解釈はあくまで作者のものであり、聴き手がそれぞれの感じ方で自由に受け止めてくれることを願っているとも語っている。

収録曲

全作詞・作曲: 岡林信康

SIDE A
26ばんめの秋 – (3:31)
SIDE B
あの娘と遠くまで – (4:45)

収録アルバム

金色のライオン (1973年)
1973PM9:00→1974AM3:00 (1974年)

これらのアルバムにも本シングル収録曲が収められている。

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