28週後...

28週後...：ウイルス蔓延後の世界で家族が葛藤するサバイバルホラー

『28週後...』（2007年公開）は、2002年の『28日後...』に続く、イギリス発のホラー映画です。前作から28週間後のロンドンを舞台に、ウイルス感染拡大によって荒廃した世界で生き残ろうとする人々の姿を描いています。R-15指定の暴力的な描写と、家族の絆と葛藤が複雑に絡み合う重厚なストーリーが特徴です。

物語の舞台：荒廃したロンドン

物語は、ウイルス発生から28週間後、米軍主導のNATO軍による保護下で、ロンドンの復興が少しずつ進んでいる状況から始まります。かつての惨劇の記憶が薄れつつある中、主人公ドンは、スペインから修学旅行から戻ってきた子供たち、タミーとアンディと再会します。しかし、ドンは妻アリスを見捨てて生き延びた過去を隠しており、アリスの死を子供たちに告げます。

再会と隠された過去

子供たちは、亡き母の遺品を求めて保護区域外にある自宅に侵入し、そこで奇跡的に生き残っていたアリスを発見します。軍に保護されたアリスは、無症状のウイルス保菌者であると判明します。ドンの嘘を知った子供たちは激怒し、事態はさらに複雑さを増していきます。

悲劇の連鎖：感染拡大と絶望

ドンはアリスに謝罪するため隔離部屋に忍び込み、キスを交わしますが、それが原因で感染してしまいます。感染したドンは、アリスを殺害し、基地内にウイルスを拡散。感染は瞬く間に広がり、街は再びパニックに陥ります。

一方、少佐ロスや軍曹ドイルは、子供たちのウイルス免疫の可能性に着目し、必死に保護しようとしますが、ストーン准将は、全住民の殺害という極端な手段「コード・レッド」を発令します。

脱出劇と残された希望

ドイルは准将の命令に反し、ロス少佐と共に子供たちを救出しようとします。激しい戦闘の中、ドイルとロスは命を落とし、アンディはドンに噛まれますが、母の免疫を受け継いでいたため感染は免れます。タミーはドンを射殺し、生き残った子供たちは、フリンのヘリコプターでイギリスを脱出します。

未来への不穏な影

脱出後、ヘリコプターの無線から助けを求める声が聞こえてきます。エッフェル塔を背景に、感染者たちが徘徊する映像が映し出され、ウイルス感染はイギリスからヨーロッパ本土へと広がりつつあることを暗示します。物語は、新たな脅威と、生き残った者たちの未来への不安を残して幕を閉じます。

キャストとスタッフ

本作は、ロバート・カーライル、キャサリン・マコーマック、イモージェン・プーツ、マッキントッシュ・マグルトンら実力派俳優陣が出演し、スペイン映画出身のファン・カルロス・フレスナディージョが監督を務めています。

制作の舞台裏

前作『28日後...』の大成功を受け、続編制作が決定。ダニー・ボイル、アレックス・ガーランドといった前作スタッフも製作総指揮として参加しています。脚本は家族を中心とした物語に改められ、新たなキャストを迎えて撮影が行われました。ロンドン市内やドーバー海峡、パリなどでも撮影が行われ、リアリティのある映像が実現しています。

衝撃的な描写と社会への警鐘

『28週後...』は、その暴力的な描写から多くの国で年齢制限が設けられています。しかし、その衝撃的な映像の裏には、ウイルス感染による社会崩壊や、人々の心理描写が深く描かれており、現代社会への警鐘とも捉えられます。家族の愛と犠牲、罪悪感と贖罪、そして人類の未来といったテーマが、緊迫感溢れるストーリーと相まって、観る者を深く魅了する作品です。

続編の可能性

当初、三部作として企画されていた本作ですが、2025年には新たな続編の公開が予定されています。新たな舞台、新たな脅威、そして新たな登場人物が登場する可能性も秘めており、今後の展開が注目されます。

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