2K1 (ミサイル)

2K1 マルス (FROG-2): ソ連の戦術ミサイルシステム

2K1 マルス (NATOコードネーム: FROG-2, GRAUインデックス: 2K1) は、ソビエト連邦が開発した固体燃料を用いた戦術ミサイルシステムです。射程距離は7kmから18kmで、主任設計者はN.P.マズールでした。

スペック

ランチャー重量: 15トン (PT-76戦車がベース)
ロケットエンジン: 3R1
ミサイル直径: 1.75m
誘導方式: ランチャーによる
ランチャー最高速度: 35km/h

開発の背景

1950年代初頭、初期の核兵器は非常に大きく重く、戦略爆撃機でなければ運搬できませんでした。しかし、敵陣地の前方への核攻撃に爆撃機を使用することは現実的ではありませんでした。核兵器の小型化が進むにつれて、様々な輸送手段への搭載が検討されるようになり、その中でも陸軍部隊が運用できる核弾頭の輸送手段が求められました。

当初、従来の砲兵、無反動ライフル、無誘導戦術ミサイルなどが候補に挙がりましたが、当時の核兵器技術では十分にコンパクトな爆弾を作ることができず、大砲は重くて不格好なものになってしまいました。例えば、ソ連のSM-54（2A3）ライフル砲は55トン、アメリカのT131砲は75.5トンもあり、移動や発射準備に多くの時間を要しました。

そこで、アメリカとソ連では、より機動性の高い代替兵器として、核兵器のキャリアとしての無誘導戦術ロケット弾が注目されました。無誘導ロケット弾が選ばれた主な理由は以下の通りです。

当時の慣性誘導システムは精度が低く、無誘導ロケット弾と大差ありませんでした。
無線誘導は干渉に弱く、地上や空中に誘導物を設置する必要がありました。
アクティブホーミングシステムは、海洋および航空目標用には開発されていましたが、地上目標用にはまだ開発されていませんでした。

これらの理由から、2K1 マルス (FROG-2)のような無誘導戦術ロケット弾システムが開発され、陸軍部隊による迅速な核攻撃能力の提供を目指しました。

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