PT-76

PT-76（Ob-740）について

PT-76は、ソビエト連邦が1951年から量産を開始した水陸両用の軽戦車です。この戦車は、水陸の両方で運用できる能力を持っており、軽戦車としては成功を収めました。しかし、内容の火力に関しては、76.2mm口径の砲は第二次世界大戦後期には時代遅れとされ、そのため用兵者たちはより強力な火力を求める声が上がっていました。この要求に応える形で、PT-76のコンポーネントを流用したPT-85（Ob-906）が試作されましたが、最終的には開発が中止されました。また、他にもOb-685やOb-934といった浮航戦車が開発されたものの、資金不足などから試作段階で終了することが多かったのです。あらゆる開発の中でも、BMP-2の後継モデルであるBMP-3はOb-685の設計を基にしており、優れた浮戦能力を有しています。特に、100mm低圧砲を装備したBMP-3はPT-76の後継車両と見なされることもあります。

PT-76自体の車体は信頼性に優れており、その大きさからも派生型商品が多数開発されました。例えば、BTR-50という装甲兵員輸送車や、OT-62 TOPAS、さらに自走式発射台として知られるFROG-2やFROG-3、ZSU-23-4自走式対空砲、ASU-85といった車両の基盤となりました。

開発と生産の経緯

ソ連軍は第二次世界大戦前から水陸両用軽戦車を開発・配備していましたが、独ソ戦の開戦後、その非力さが目立つようになりました。主力[[戦車]]や重戦車の生産が優先されたため、水陸両用軽戦車は一時途絶えてしまいました。しかし戦後、偵察や上陸作戦支援用としての必要性が高まり、1947年から1950年にかけてK-90という新型が開発されましたが、浮航時の安定性が不足していたため不採用となりました。

このK-90の経験を基に、1949年から開発が始まったのがPT-76です。K-90の短所を克服するために、より大きな船型車体が採用され、車体下部から水流を取り込み、後ろからウォータージェットで排出する方式が導入されました。また、エンジンはV-2ディーゼルエンジンの6気筒版であるV-6が搭載され、砲もT-34に搭載された76.2mm砲F-34の改良型であるD-56TまたはD-56TMが使用されました。このようにして開発されたPT-76は、高性能を誇り、1951年から量産が始まりました。

さらに1959年からは改良型であるPT-76Bの生産が開始され、核攻撃下での運用を考慮したPAZ放射線防護システムが装備されました。

配備と実戦運用

PT-76はソ連軍において自動車化狙撃兵連隊の偵察中隊や海軍歩兵部隊の支援車両として活用されました。現在では、BRDMシリーズなどの新型装甲車に置き換えられています。また、約2,000両は他国に供与され、ベトナム戦争や中東戦争、第三次印パ戦争などで実戦に投入されました。特にPT-76は、未整備のインフラが多い地域での作戦において強力な存在感を示しました。中国では1966年から「60式水陸両用戦車」としての移植が行われ、その後85mm砲を装備した63式水陸両用戦車も開発されました。これらもまた、ベトナム・カンボジア内戦や中越戦争での活躍が見られます。

PT-76はポーランドや北朝鮮、インドネシアなど約25か国で運用され、イスラエル軍も徴用した車両を使用していました。戦車のバリエーションには、試作型のOb-740、最初の量産型であるPT-76、改良型のPT-76Bなどがあり、これらはその後の戦車設計や戦術に大きな影響を与えました。

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