2S4チュリパン 240mm自走迫撃砲

2S4チュリパン自走迫撃砲

2S4チュリパン（ロシア語: 2С4 «Тюльпан»）は、1975年に部隊配備が始まったソビエト連邦製の自走砲で、NATOコードネームはM1975です。「チュリパン」とはロシア語で「チューリップ」を意味します。

構造と機能

2S4チュリパンは、車体の基本構造に2S3自走砲を採用しており、その後部にはM-240という240mm迫撃砲を搭載しています。この砲は、砲床ごと車両の後方に装備されています。移動中は砲身が車体と水平に保持され、射撃時になると砲全体を車両の背後に展開し、砲床を地面に接触させるようにします。このため、発射する際は車輌を砲撃目標に対して後方に駐車させる必要があります。

この自走迫撃砲では、水圧駆動による俯仰角が45度から80度、電動で左右に各8度まで回転することが可能で、必要に応じて手動での操作も行えます。射程距離は通常800メートルから9,700メートルですが、最大で20,000メートルまでを可能にします。発射速度は分あたり1発となっています。

装填は後装式で、砲尾から装填を行います。この際には砲身を車体の反対側に水平に傾け、砲尾が車体の上部に設置された装填機構のレールの同じ高さに上昇します。そこで、チェーン駆動の補助装置を用いて砲弾を押し込みます。砲尾の蓋が閉じた後、砲は射撃角度に素早く持ち上がり、発射準備が完了します。

発射可能な弾薬

2S4チュリパンは、通常弾である130kgの弾薬に加え、徹甲弾、対コンクリート砲弾、化学弾、さらには核弾も発射することができます。これにより、さまざまな攻撃手段が選択可能となり、戦場での柔軟さが増します。

戦歴と運用実績

この自走迫撃砲は、アフガニスタン侵攻やチェチェン紛争、さらにはロシアのウクライナ侵攻など数回の実戦で使用されてきました。特にアフガニスタン侵攻においては、3F5 スメリチャーク（ロシア語: Смельчак、意訳「向こう見ず」「命知らず」）というレーザー誘導砲弾が使用され、大きな成果を上げたとされています。また、ウクライナ侵攻では、保存状態の良い車両が修理されて重砲兵旅団に再配備され、現在も現役で運用されています。

結論

2S4チュリパンは、その高い射撃精度と多様な弾薬により、さまざまな状況で戦闘効果を発揮できる重要な自走迫撃砲です。これにより、戦術的な柔軟性が大幅に向上しています。

もう一度検索