2S5ギアツィント 152mm自走カノン砲

2S5ギアツィント-Sの概要と特徴

概要

2S5ギアツィント-S（ロシア語: 2С5 «Гиацинт-С」）は、ソビエト連邦で開発された自走砲であり、名はロシア語の「ヒヤシンス」に由来しています。1950年代に「オブイェクト123」という名称で開発が始まり、当初は122mm榴弾砲を搭載するオープントップ式の自走榴弾砲としての計画でした。しかし、先に配備された2S1および2S3の性能不足が指摘されたため、より長射程の152mm砲を装備する自走砲へと計画が改められました。

開発の経緯

開発は当初の想定よりも遅れましたが、1960年代後半に完了し、1974年から量産が開始されました。正式な部隊配備は1970年代後半に行われ、西側諸国がこの自走砲の存在を確認したのは1981年のことでした。その後、2S5に関する情報は限られたものとなりましたが、愛称の「ギアツィント-S」における「-S」は「自走式」の頭文字を示しています。類似する牽引式の152mmカノン砲も開発され、こちらは2A36と名付けられました。

用途と配備

2S5はソビエト軍の重砲兵旅団のみで運用され、他国への輸出はほとんど行われていませんでした。ただし、旧東ドイツには少数が輸出され、その後フィンランドがこれらを輸入して「152 TELAK 91」という名称で使用しています。

構造

この自走砲の内部構造は、前部にエンジン、左側に操縦席、中央から後部にかけて戦闘室が配置されています。操縦席の後方には車長用の展望塔があり、機関銃が備え付けられています。また、弾薬庫と砲員の占有スペースが設けられ、砲は車体後部に搭載されています。

砲の性能

搭載されているカノン砲は2A37型で、152mmの口径を持ち、射撃時の安定性を確保するために駐鋤が装備されています。砲の旋回角度は左右15度で、発射時には後部の鋤を降ろす必要があります。最大射程は通常の榴弾の場合で28.5km、ロケットブースター付きの榴弾では37kmに達します。内部には30発の砲弾が収納され、自動装填装置が搭載されており、毎分5～6発の発射速度を誇ります。

対応可能な弾薬

通常の榴弾だけでなく、対コンクリート用の特殊な弾薬、核弾頭、さらには化学兵器用の弾薬も発射可能で、汎用性が高いことが特徴です。これらの要素により、2S5ギアツィント-Sは恐れられる火力と精度を兼ね備えた戦場の重砲として、今日までその性能が評価されています。

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