2ちゃんねるビューア

2ちゃんねるビューア：匿名掲示板の進化と終焉

かつてインターネット上で大きな影響力を持っていた匿名掲示板『2ちゃんねる』（現・5ちゃんねる）において、かつて『2ちゃんねるビューア』という有料サービスが存在しました。ユーザーからは通称『●（まる）』や『黒豆』と呼ばれ親しまれていました。このサービスは、2ちゃんねるの利用をより快適にするための様々な機能を提供することで知られていました。

サービスの概要と料金体系

『2ちゃんねるビューア』は、専用のソフトウェアではなく、2ちゃんねるにアクセスするためのシステムでした。ユーザーは登録したメールアドレスとパスワードを使ってログインし、サービスを利用していました。

料金体系は、サービス開始当初はクレジットカード決済のみで年間33米ドルでした。その後、ユーザーの利便性向上のため、2011年6月からは年間3,600円でコンビニ決済が可能になり、さらにネットバンクやATMでの支払いにも対応が拡大されました。2013年5月からは、支払方法がビットキャッシュに変更されました。

ログインによるメリット

『2ちゃんねるビューア』にログインすることで、ユーザーは以下のようなメリットを得ることができました。

dat落ちスレッドの閲覧: 通常の閲覧では見ることができない、datファイル形式のままHTML化されていないスレッドを閲覧可能でした。これは、特に古いスレッドや、アクセス集中によりHTML化が間に合っていないスレッドへのアクセスを可能にしました。
スレ立て規制の緩和: 通常よりもスレ立て（新しいスレッドの投稿）が容易になり、制限が緩和されていました。
アクセス規制の回避: サーバーのアクセス規制がかかっている場合でも、投稿を行うことが可能でした。
連続投稿規制の緩和: 短時間での連続投稿に対する制限が緩和されていました。
特殊な名前欄の使用: 名前欄に『●』を使用することが可能でした。
特定掲示板への投稿: 『●板』と呼ばれる特定の掲示板への書き込みが可能でした。
* 投稿間隔の緩和: 『忍法帖』（2ちゃんねるの機能の一つ）のレベル上げに伴う投稿間隔の制限が緩和されていました。

これらの機能は、特に活発なスレッドやアクセス制限のある掲示板へのアクセスを容易にすることで、ユーザーの利便性を向上させる役割を果たしていました。

サービスの歴史と背景

『2ちゃんねるビューア』の導入は、2ちゃんねるの急速な成長に伴うサーバー費用負担の増加が背景にあります。運営の資金調達手段として、2002年に開始されたこのサービスは、『oyster作戦』と呼ばれていました。この名称は、課金システム導入の検討段階で「かき（貝）」から連想された「オイスター」に由来すると言われています。

『2ちゃんねるビューア』によって得られた収益は、サーバー増強などに充てられ、掲示板の運営を支える重要な役割を果たしました。株式会社ゼロが運営するオンラインゲーム『栄光のニダーラン』では、ゲーム内ポイントを貯めることで『お試し●』を入手できるキャンペーンも行われていました。

2013年5月からは、2ちゃんねるビューアを含むアクセス規制が強化され、警告文も変更されました。同年8月には、約3万件のユーザー個人情報流出事件が発生し、Yahoo!トップページでも大きく報道されるなど、大きな社会問題となりました。

そして2014年7月6日、2ちゃんねるのシステム移行（『2ちゃんねる浪人』、現プレミアムRonin）に伴い、『2ちゃんねるビューア』は事実上サービスを終了しました。

結論

『2ちゃんねるビューア』は、匿名掲示板という独特の文化の中で、ユーザーの利便性向上と運営の維持という二つの役割を担ったサービスでした。その歴史は、匿名掲示板の成長と課題、そしてインターネット上の情報セキュリティに関する問題を浮き彫りにする、重要な事例と言えます。 サービスは終了しましたが、その存在はインターネット文化史において重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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