3.3.7ビョーシ!!

久保ミツロウ氏による日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』（講談社）にて、2001年34号から2003年28号にかけて掲載されました。単行本は全10巻が刊行されています。本作は久保氏にとって初の少年誌連載作品となりました。

概要

物語は、北関東から上京した主人公フクこと福田新一が、新宿を舞台に経験する多種多様な出来事や人間関係を中心に描かれます。当初は3週間の短期連載として企画されていましたが、読者からの熱烈な支持を受け、長期連載へと方針転換されました。

作品には、コメディ、恋愛、サスペンスなど、多彩なジャンルの要素が盛り込まれており、それが幅広い層からの人気獲得につながりました。特に注目すべき点として、作中に登場するキャラクターの多くが、主要人物であるか否かを問わず、実在の著名人に似た容姿で描かれていることが挙げられます。例として、俳優の窪塚洋介氏や古田新太氏、タレントの井川遥氏、ミュージシャンのアヴリル・ラヴィーン氏、ラーメン店経営者の川原ひろし氏などを思わせるキャラクターが登場します。

また、各エピソードのサブタイトルに、ミュージシャン（主にeastern youthやNUMBER GIRLといったロックバンド）の楽曲名が引用されているのも本作の特徴です。この手法は、後の久保氏の作品にも共通して見られます。

あらすじ

北関東の高校で、たった一人の応援団員として野球部を応援していた高校三年生の福田新一（フク）。最後の夏が終わり、進学のため予備校に通うべく、写真部の友人と共に新宿を訪れます。しかし、そこで予期せぬトラブルに巻き込まれ、悪質なボッタクリバーに引っかかってしまいます。友人たちが逃げる中、一人取り残されてしまった新一は、偶然再会した高校時代の先輩であるウメに助けられます。この出来事をきっかけに、新一はウメの仕事を手伝うことになりますが、その仕事とはホストでした。

こうして新一の昼は予備校、夜はホストという二重生活が始まります。新宿での半年の間に、彼は様々な事件や人間模様に巻き込まれながらも、「応援」という自らの特技を通じて多くの人々と心を通わせ、かけがえのない絆を育んでいきます。

主要登場人物

福田新一 / フク: 物語の主人公。高校では唯一の応援団員として活動していました。成績は芳しくなく、大学進学のために予備校に通い始めますが、勉学への意欲は低いようです。他者を応援する優しい心を持ち、多くの人々が彼の応援によって救われます。素直すぎる性格が原因で、しばしばトラブルに巻き込まれます。異性からの人気が高く、彼を巡る恋の駆け引きが描かれることもあります。
山口貴史 / ウメ: 新宿歌舞伎町にあるホストクラブ「ソドム」の若き代表。新一の高校時代の先輩で、元応援団長です。ぼんやりとした特徴的な目は、後に物語の重要な伏線となります。背中には複雑な模様の刺青があります。「ウメ」という名は、亡くなった祖母に由来します。掴みどころのない雰囲気を持ちながらも、新宿の人々から慕われる存在です。かつては野球部のピッチャーでしたが、肩を故障し、応援団に転身しました。新一との再会を経て、彼の印象も徐々に変化していきます。実は、徐々に視力を失う病を患っていましたが、その事実は物語終盤まで明かされませんでした。
大山里子（さとこ） / のぶ代: 新一が新宿で通う予備校のクラスメイトです。キャバクラでの源氏名「のぶ代」で呼ばれることがほとんどです。黒髪ボブが印象的な美少女ですが、自身が処女であることにコンプレックスを抱いています。勤めていたキャバクラで新一と知り合い、同じく経験のない新一に初体験をもちかけますが、彼が恋愛感情を抱こうとしたことに反発し、ソウメイについて行ってしまいます。その後、ソウメイらによって見ず知らずの男性との援助交際を強いられそうになりますが、新一の身を挺した行動に救われ、以降、彼に強い恋心を抱くようになります。新一が他の女性と交流するだけで、毒づいたり感情的になったりするほど嫉妬深い一面がありますが、同時に自分の気持ちを素直に伝えられないシャイな性格でもあります。
ハイド: ホストクラブ「ソドム」に勤務するホスト。本名はヒデ。“刃威奴”と漢字表記されます。見た目は恰幅が良く個性的で、作者曰く「ヴィジュアル系バンドの悪い部分を凝縮した」とのこと。一流とは言えませんが、多くの客から愛されています。後輩には厳しい一面もある、老け顔の19歳です。一時、音楽活動のために新宿を離れ、韓国でヴィジュアル系バンドとしてブレイクしますが、整形疑惑（実際は鼻のみ）により脱退。帰国後は兄の料理屋を手伝う女性と深い仲になります。
マオ / 麻美鈴（マー・メイリン）: キャバクラ「ヴァージンハート」を経営する女性オーナー。本名はマー・メイリンです。ウメを見出し、ホストの道へと導いた人物でもあります。華僑の家庭に育ち、ビジネスの才能にも長けています。大胆でさっぱりとした、時に男性的な印象を受ける性格ですが、学生時代は控えめで真面目だったようです。ウメに好意を寄せており、彼が他の女性といることに嫉妬心を露わにすることもあります。草野球では豪腕投手として知られ、新宿ではその名が通っています。プライベートでは視力が悪く眼鏡をかけています。
ソウメイ / 聡明（としあき）: 新宿で一匹狼として活動する人物。口癖は「現実（リアル）教えてやるよ」。彫師の父を持ち、荒んだ家庭環境で育ったためか、短気で捻くれた性格をしています。物語初期には、のぶ代に無理やり援助交際をさせようとしたり、覚醒剤を使用して「ソドム」を警察に通報するなど、危険な行動が目立ちましたが、新一や友人である鞠川との交流を通じて、徐々に内面に変化が見られます。特に鞠川とは因縁がありながらも、一人でいる時に彼から借りた音楽プレイヤーを聴くなど、友情に近い感情を抱いていることが示唆される場面があります。かつて「ソドム」でホストとして働いていた経験があるようです。チュッパチャップスを好んで口にしています。
* 鞠川恭二: 新一の北関東時代の高校の友人。「マリカワ」の通称で呼ばれます。高校では出席番号が前後だったことから新一と親しくなりました。「夏期講習」を口実に新一を新宿へと連れ出し、自身もそのまま新宿に住み着くことになります。生き方に確固たる芯が見られない人物として描かれています。

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