351号工場

351号工場の概要とその重要性

351号工場（351ごうこうじょう）は、北朝鮮の北部に位置する江界市にあるミサイル製造工場です。この工場は冷戦末期から重要な軍需工業の拠点として知られています。工場名は「将子江工作機械工場」と偽装されており、その実態はミサイル部品生産に特化しています。江界市は、北朝鮮随一の軍需工業都市であり、同市にはもう一つの重要な施設である26号工場（江界トラクター工場）も存在します。

位置と訪問歴

351号工場は江界市の南側、将子江の左岸に位置しております。工場の訪問歴も重要なポイントです。最高指導者である金正日は、2008年から2011年の間にこの工場を4回訪問しており、その際には軍需産業の幹部が同行していました。特に、2011年の訪問には金正日の三男、金正恩が同行しており、工場の重要性が示されています。

金正日は工場の機械加工職場を無人化のモデルとして位置付け、2009年以降の訪問の際には、工場の高度な現代化についても言及しました。このため、351号工場は無人化の進展が期待される重要な拠点となっています。

工場の歴史と製品

351号工場の創設は1969年にさかのぼり、初めは武器部品だけでなく、工具や道路掘削機の製造を行っていました。しかし1970年代後半からは自動高射砲の自動化装置、さらに1980年代以降には各種ミサイルに用いられる精密部品の製造を開始しています。

工場の生産体制は他の工場とは異なり、精密部品や機械設備を製造することに特化しています。そのため、従業員数は少なく、推定3,000人から4,700人程度とされています。これに対し、26号工場の従業員数は2万人を超えています。

CNC化の推進

351号工場は、金正恩によって無人化の基準工場とされ、早い段階からコンピュータ数値制御（CNC）の導入が進められてきました。金正日は、この技術を慈江道で最初に導入したと述べていますが、北朝鮮全体の電力供給の不安定さが、これらの技術の稼働に影響を与えているとの指摘もあります。

地下施設の発見

近年、351号工場の拡張された地下施設が発見されました。これは、最近になって造成された人工地形によるもので、金正恩が工場の生産能力拡大を指示したことから、地下施設の拡張が行われたと推定されています。この施設では、製品の地下運搬が可能であることを示す新たな道路も整備されています。

外国との関係と今後の動向

1980年代以降、北朝鮮はミサイル関連技術の輸出を通じて外貨を獲得してきましたが、国際的な制裁や圧力によってその収入は減少しています。金正恩のもとで進められている「経済建設と核武力建設の並進路線」は、国際的な対立を深める危険性を秘めており、351号工場の今後の動向に注目が集まります。

この工場の拡張や地下施設の利用については詳細が不明ですが、351号工場の存在は北朝鮮のミサイル製造能力の向上を示唆しており、国際社会による監視が必要とされています。

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