37signals

37signals:シンプルさを追求するウェブアプリケーション開発企業



37signalsは、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴに本社を置く非公開企業です。かつてはBasecampという名称で広く知られていましたが、現在は創業時の社名である37signalsに戻っています。同社は、洗練されたウェブアプリケーションの開発と提供において高い評価を得ており、特にプロジェクト管理ツールBasecampは世界中で利用されています。

起源と歴史



1999年、ジェイソン・フリード、カルロス・セグラ、アーネスト・キムの3名によってウェブデザイン会社として設立されました。当初はPanera BreadやShopping.comといった企業のウェブサイト制作を手がけていました。2000年にはセグラが、2003年にはキムが退社し、現在はフリードが唯一の創業メンバーとして会社を率いています。

2004年頃からウェブデザインからウェブアプリケーション開発へと事業の軸足を移行し、最初の商用アプリケーションとしてBasecampをリリースしました。その後、Backpack、Campfire、Highriseといったビジネス向けのアプリケーションを次々と開発・提供しています。また、Ta-Da ListやWriteboardといったフリーウェアもリリースしていましたが、現在はこれらの機能は有料製品に統合されています。

特筆すべきは、オープンソースのアプリケーションフレームワークであるRuby on Railsです。これは、当初Basecamp開発のために社内で開発されたもので、2004年に一般公開されました。Ruby on Railsの登場は、ウェブアプリケーション開発の世界に大きな影響を与えました。

2006年には、共同設立者のジェイソン・フリードがMITテクノロジーレビュー誌の「TR35」に選出されるなど、その技術力と革新的な取り組みは高い評価を受けています。2014年には社名をBasecampに変更しましたが、2022年には再び37signalsに戻っています。

製品とサービス



37signalsは、多様なウェブアプリケーションを提供しています。

Basecamp: プロジェクト管理ツールとして広く知られ、タスク管理、ファイル共有、コミュニケーション機能などを備えています。Ruby on RailsはこのBasecamp開発から生まれたものです。
Backpack: 中小企業向けのPIM(Personal Information Manager)とイントラネットを統合したサービスです。ユーザー作成ページやカレンダー機能を提供していましたが、現在は新規ユーザー登録を終了しています。
Campfire: ビジネス向けのリアルタイムチャットサービスです。Ajax技術とSSL暗号化を採用し、セキュアなコミュニケーションを実現しています。
Highrise: 顧客関係管理(CRM)ツールです。連絡先管理、メモ機能などを備え、効率的な顧客管理を支援します。
* Ta-Da List / Writeboard: これらは以前提供されていたフリーウェアのタスク管理ツールと共同編集可能なテキストエディタですが、現在は新規ユーザー登録を終了しています。

これらの製品に加え、37signalsは求人サイト「37signals Job Board」や、ウェブデザイナー向けのポートフォリオサイト「Sortfolio」(現在は売却済み)なども運営していました。

Signal vs. Noise



1999年から運営されている同社のブログ「Signal vs. Noise」も有名です。オンライン広告を通じて収益を上げており、ウェブアプリケーション開発における知見や考え方を発信する重要なプラットフォームとなっています。

Ruby on Rails



37signals社員であるデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンが開発したRuby on Railsは、同社の成功に大きく貢献しました。Basecampの開発から生まれたこのフレームワークは、そのシンプルさと効率性から世界中で広く利用されており、現在もRails Core Teamによって開発が続けられています。

出版物



37signalsは、『Defensive Design for the Web』、『Getting Real』、『REWORK』など、ウェブデザインやビジネスに関する書籍も出版しており、その内容は多くの開発者や経営者に影響を与えています。日本語訳も出版されています。

37signalsの理念



37signalsは、「シンプルで効率的なツール」を開発するという理念を貫き、無駄を省いた洗練されたインターフェースと機能性を重視した製品を提供し続けています。その哲学は、彼らの開発するアプリケーションだけでなく、社風やビジネスモデルにも反映されています。 彼らの成功は、シンプルでパワフルなツールと、それを支える明確なビジョンによるものであると言えるでしょう。

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