イントラネット

イントラネットとは

イントラネットは、企業や組織が内部で構築するプライベートネットワークです。インターネットと同様の技術やプロトコルを使用しますが、外部からのアクセスは制限され、組織内の情報共有や業務効率化を目的としています。セキュリティ対策を施した上で、コストを抑えながら利便性を向上させることを目指します。

イントラネットの接続方法

イントラネット間の接続には、主に2つの方法があります。

1. 専用線: 物理的な専用回線を使用する方法です。セキュリティは高いものの、コストがかさむ傾向があります。
2. VPN（Virtual Private Network）: インターネット上に仮想的な専用線を構築する方法です。専用線に比べてコストを抑えられますが、セキュリティ対策はより重要になります。近年では、インターネットの普及とコスト削減のニーズから、VPNの利用が一般的になっています。

イントラネットの歴史

イントラネットは、インターネット普及以前の企業内ネットワークが発展したものです。初期は、メーカー独自のプロトコルや汎用機ベースのネットワークが主流でしたが、インターネット技術の導入とともに、標準化されたプロトコル（TCP/IP、FTPなど）の利用が進みました。

当初の目的は、以下の通りです。

コスト削減: 汎用的なハードウェアの導入により、システム構築コストを低減
相互接続性の向上: 異なるメーカーの機器間でも通信を可能に

メインフレームやオフィスコンピュータといった高価な専用機から、パーソナルコンピュータへの移行が進むにつれて、イントラネットの普及も加速しました。Windows 3.1の登場などにより、パーソナルコンピュータの低価格化が進み、エミュレーション機能を通じて、専用端末機を代替することが可能となりました。

初期のイントラネットは、同一社屋内での利用に限られていましたが、光モデムや光ファイバーなどの技術革新により、離れた拠点間での接続も可能になり、現在の形へと進化しました。

業界別イントラネットの利用事例

特に、工業、流通、金融といった業界では、外部からのネットワーク侵入を警戒する傾向が強く、イントラネットは厳格なセキュリティ対策の下で運用されています。これらの業界では、事務処理系のネットワークを除き、通信手段のみの導入にとどめ、物理的な隔離を行うこともあります。

物理的な隔離:

内部ネットワークと外部ネットワークを物理的に分離
同一の機器が内外のネットワークに同時接続することを禁止

これにより、セキュリティリスクを最小限に抑えることが可能です。

企業内イントラネットの事例

以下に、企業内イントラネットの事例をいくつか紹介します。

オールトヨタイントラネット（ATI）: トヨタシステムズが提供する、トヨタグループ各社向けの巨大ネットワークです。
G-Net: NTTコムウェアが提供する、NTTグループ各社向けのイントラネットです。
JNX（Japanese automotive Network eXchange）: 自動車産業を中心に、業界全体をつなぐ共通ネットワークです。

これらの事例は、イントラネットが企業や業界における情報共有の基盤として、重要な役割を果たしていることを示しています。

関連用語

VPN（Virtual Private Network）: インターネット上に仮想的な専用線を構築する技術
ネットワーク外部性: ネットワークの参加者が増えるほど、ネットワーク全体の価値が高まる現象
パソコン通信: かつて個人間でコンピュータを介して行われていた通信

イントラネットは、組織の規模や業種に関わらず、業務効率化、情報共有、セキュリティ強化に不可欠なインフラとなっています。今後も、技術の進化とともに、イントラネットは様々な形で発展していくでしょう。

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