39アートin向島

39アートin向島

39アートin向島は、東京都墨田区向島地域で2010年から継続されているアートプロジェクトです。このプロジェクトは、地域に暮らす人々や活動するアーティストたちの企画を繋ぎ、地域全体を舞台とした多様なアートイベントを展開しています。

プロジェクトの概要

39アートin向島は、地域に根ざした活動を重視し、地元住民が主体的に参加できる企画を多く含んでいます。特に、ネットワークプロジェクトでは、地域で活動する人々が企画を持ち寄り、互いに連携しながらイベントを創り上げています。

2015年には、現代アーティストのタノタイガ氏を招聘し、向島の素材やテーマを基にした作品制作プロジェクトを実施しました。この取り組みは、地域のアート活動に新たな視点と創造性をもたらしました。過去には最大で約40もの地域企画が参加し、地域全体を巻き込む大規模なアートプロジェクトへと発展しています。

運営は実行委員会形式で行われており、実行委員は地域で活動する5名で構成されています。地域住民が主体的に関わることで、より地域に密着したアートイベントの実現を目指しています。

向島という場所

39アートin向島の舞台となる「向島」は、墨田区の北部に位置し、東京スカイツリーのある押上駅の隣、曳舟駅周辺を含むエリアを指します。この地域は、高層マンションや大型スーパーが立ち並ぶ一方で、一歩路地に入ると、住宅、町工場、商店街、銭湯などが混在する独特の雰囲気を持っています。近年は、カフェやギャラリー、アトリエなども増えており、アート活動が活発なエリアとしても注目されています。

過去の開催と内容

39アートin向島2013

この年のロゴは、アーティストの樋口裕一氏（スミカ造形美術）がデザインを担当しました。

参加企画では、東向島珈琲店で行われた東條カンナ個展「カンナのせかいのはじまり。」が特に注目を集めました。これは、保育園で描かれた子供たちの絵を地域のクリエイターが展示として昇華させたもので、絵画の展示に加えて、活版印刷のポストカードやトンボ玉のアクセサリー、ぬいぐるみなどの制作も行われました。また、近隣の個人宅では、この展示のパロディ企画も開催され、地域全体でアートを楽しむ雰囲気が醸成されました。

また、「へびのあし／ガラスのアトラス」では、様々な派生企画が誕生し、中でも「オールナイト・ズッポン！」は、アーティスト図師雅人氏が夜9時から朝9時まで12時間トークを続けるというイベントで、USTREAMで生配信されました。しかし、早朝にはトーク相手の企画者である佐藤史治氏が寝てしまうというハプニングも発生しました。

主な参加企画と場所

吉田有希＋チーム犬屋敷 / 吉田有希個展「共有記憶」
東條カンナ個展実行委員会 / 東條カンナ個展「カンナのせかいのはじまり。」
float（図師雅人企画） / 小野冬黄展『絵の背』
こずし隊 / へびのあし / ガラスのアトラス
SOURCE Factory / SOURCE .sight exhibition vol.12 西澤知美個展

開催場所：犬屋敷 / 東向島珈琲店 / float / こすみ図書 / ヨネザワエリカのオフィス / logique / あをば荘 / SOURCE .sight（SOURCE Factory内）

39アートin向島2014

この年のロゴは、デザイナーの古山菜摘氏とアートディレクターの山内敦史氏が担当しました。参加企画に関連するキーワードから要素を抽出し、向島を象徴するデザインが特徴です。

10の企画が向島の様々な場所で展開され、アーティストや学生、研究者などが集まる「あおば荘」では、演劇やアーティスト佐藤史治氏による個展が開催されました。「八広地域プラザ 吾嬬の里」では、ドンツキ協会が謝罪会見を行うなど、公共施設も活用した企画が展開されました。また、築50年の元町工場をリノベーションした「yahiro8」では、パフォーマーと観客が鍋を囲む「芸とスープ」が開催され、地域の人々が交流する場となりました。鳩の街通り商店街では、心理ゲーム「人鳩 -JINBATO-」が青空の下で行われ、商店街を盛り上げました。

39アートin向島2015

この年のロゴは、デザイナー古山菜摘氏によるもので、参加した39の企画を示すイラストで構成されています。参加企画は、実行委員会主催のものを含め、合計39企画となり、39アートにちなんだ偶然の数字となりました。

主な企画として、ドンツキ協会によるドンツキ研究室(ラボ)玉ノ井部会や、現代美術作家によるシェアアトリエ「ドマトトコ」のオープンスタジオなどが開催されました。特に、現代美術の作家である佐藤史治、鳴海テヨナ、原口寛子、三原回が参加したドマトトコのオープンスタジオは、多くのアートファンを魅了しました。

主な参加企画と場所

金藤みなみのきんみスタジオ / あけらがいっぱい あけらかふぇ
前田麻里 / 「GATHER×BLUE WINDOW」／前田麻里作品展・インスタレーション
長谷川彩子 / Fantasmagoria-ファンタスマゴリー
雑貨のギャラリーconeru / 昭和的ぬいぐるみ人形展
float / float:KATAZUKE
DanceStudioUNO / UNO子供ダンスカフェ
高襟〜HAIKARA〜 / 高襟〜HAIKARA〜　お散歩ダンス
現代美術製作所 / LIVE『チャーリー高橋（高橋裕）の傾向と対策 -その方法の展開と検証-』
seesaw / ニットの服、雑貨の展示販売
墨田聖書教会ギター教室 / 39サウンド・ピクニック
隅田図画工房 / 工房展
玉ノ井カフェ． / 和紙作品展＆はざいをあーと展
sampo / アトリエお披露目と展示
バニヤンブックス / バニヤンブックスの仕事場
Fumee / 【町と街】
スミカ造形美術 / 出張屋台BAR スミフキン
ドマトトコ / ドマトトコのオープンスタジオ
あをば荘の人々 / はじまり　はじまり
さぶたけ / Best friend
開　康寛 / 写真展のレッスン
ドンツキ協会 / ドンツキ研究室(ラボ)玉ノ井部会
オカザキ恭和 / 第２工場への便り。
田中 みさよ × yahiro 8 / うろうろスケッチさん with 小路バー やひろ
チャレンジスポット鈴木荘 / 鈴木荘で鳩を探せ！
青木　威明 / Open Studio in犬屋敷　～2015犬屋敷の人々～
リマインダーズ・フォトグラフィー・ストロングホールド / 藤井ヨシカツ写真展
ヒコーキやろう / ヒコーキやろう
muumuu coffee / RE
すみだ青空市ヤッチャバ事務局 / ３９あーと　in ヤッチャバ！
吉田有希 / 吉田有希展「記憶のトレース」
大塚秀樹　亀海史明 / 大塚秀樹写真展「体温の箱庭」報告展＆町歩きイベント
RaRa primopiano handmade soap / 美味しいせっけん Expo 2015
東向島珈琲店 / 今月の展示〜アフリカより〜
渋家 / 渋家工房
かえるのトンネル / ３９！ケロケロ
角田晴美 / biotope 京島の生物棲息空間
39アート in 向島実行委員会 / 39アート in 向島 2015 参加拠点ツアー

開催場所：minami kinto studio / Spice BAR 猫六/アトリエ犬屋敷 / LE PETIT PARISIEN ルプチパリジャン / 雑貨のギャラリーconeru / float / DanceStudioUNO / 墨田区界隈のカフェやスペース / 両国門天ホール / seesaw / 墨田聖書教会 / 隅田図画工房 / 玉ノ井カフェ．/ 玉の井Showroom / samop / こすみ図書 / Fumee / いろんな拠点 / ドマトトコ / あをば荘 / さぶたけ / ヒラキエ / 玉ノ井カフェ / 吉成工業株式会社 第２工場　2F / 墨東エリア近辺/小路バー やひろ：yahiro 8横の路地 / チャレンジスポット鈴木荘 / アトリエ犬屋敷 / RPS / すみだ中小企業センター1階スペース / muumuu coffee / 京島１−１イーストコア曳舟広場/両国駅前広小路広場 / あるアトリエ / ウラダナ / 手作りせっけんアトリエ RaRa primopiano handmade soap/爬虫類館 分館2F / 東向島珈琲店 / 渋家工房 / かえるのトンネル / ウラダナ / 集合場所:小村井駅改札口/東武スカイツリーライン曳舟駅改札口/東武スカイツリーライン東向島駅改札口

招聘アーティスト

2015年の39アートin向島では、初めてアーティストを招聘し、展覧会を開催しました。招聘アーティストであるタノタイガ氏は、数ヶ月にわたり向島地域を歩き回り、そこで得たインスピレーションを基に作品を制作しました。

タノタイガ氏のステートメント

私は隅田を歩き回っています。

歩き回りながら、声を聞いています。

その声をもとに作品を作ろうと考えています。

さまざまな声を聞きながら、作品のプランは変化しています。

具体的な作品のプランは固まっていません。

展示の場所も決まっていません。

いや、今はまだ言うことができません。

私は、歩き回りながら、声を聞いています。　2015.1.19　タノタイガ

タノタイガ氏は、東京生まれ、仙台育ちのアーティストで、立体造形、映像、パフォーマンスなど多様な表現手法を用い、記号性と媒体性を強調した風刺的な作品を制作しています。作者自身を媒体化し、日常に埋もれた社会や集団の倫理性を表出させ、ユーモアと毒を兼ね備えた作風が特徴です。

39アートin向島2016

2016年には、過去6年間の活動を振り返るトークイベント「39アート in 向島 7年目のトーク　～これからの地域とアートの関係～（向島版！）」が開催されました。現代美術製作所のディレクター曽我高明氏とアーティストの中崎透氏、じゃぽにか氏、中里洋平氏、下平千夏氏らが参加し、地域とアートの関係についてクロストークを行いました。

会場となったアサヒアートスクエアはこの年に閉館が決まっており、このイベントは閉館イベントの一環として開催されました。なお、この年は例年行われていた「ネットワークプロジェクト」や招聘アーティストによる現代美術の展示は行われませんでした。

まとめ

39アートin向島は、地域住民とアーティストが協力し、向島という場所の魅力を最大限に引き出すアートプロジェクトです。地域に根ざした活動を通して、新しいアートの可能性を追求し続けています。

出典:

39アートin向島
39アートin向島 (@39artmukoujima) - X（旧Twitter）

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