4次元コースター

4次元コースター

4次元コースターとは、従来のローラーコースターの3次元の動きに加え、座席自体が独立して回転する機能を備えた特殊なコースターです。この独特な動きが4次元と表現される所以であり、予測不能なスリルと興奮を提供します。

歴史

4次元コースターの概念は、1995年に企業弁護士であったジョン・F・マレスによって発明されました。彼は回転シートシステムの技術に関する複数の米国特許を取得しています。2002年には、アメリカのシックス・フラッグス・マジック・マウンテンに最初の4次元コースター「X2」が登場しました。これはアラン・シルキーによって設計され、特許を取得しています。2007年には、インタミンが「ZacSpin」という4次元コースターの変種を発表しました。

設計

Arrow DynamicsとS&S Worldwide

Arrow Dynamicsは、4次元コースターを最初に製造した企業です。彼らのコースターは、制御されたスピンで360度回転する座席を特徴としていました。これは、線路上に4本のレールを配置することで実現されています。内側の2本は通常の走行用、外側の2本は座席の回転を制御するために使用されます。「Xレール」と呼ばれる座席の回転を制御するレールは、軌道に対して高さが異なり、ラック・アンド・ピニオン歯車機構を使用して回転させます。

最初に建設された「X²」はプロトタイプであり、技術的な困難と設計上の欠陥により、Arrow Dynamicsとシックス・フラッグスは多額の費用を費やしました。2002年、同パークはArrow Dynamicsを訴え、同社は破産に至りました。その後、ArrowはS&S Worldwideに買収され、同社のスチールコースター部門「S&S Arrow」となりました。2006年には、日本の富士急ハイランドに2番目の4次元コースター「ええじゃないか」がオープンしました。

インタミン ZacSpin

インタミンのZacSpinは、Arrow Dynamicsの4次元コースターに対抗して開発されました。インタミンのコースターとArrow Dynamics/S&S Worldwideのコースターの主な違いは、座席の回転が制御されておらず、毎回異なる乗り心地を生み出す点、追加のレールを必要としない点、そして2人乗りの座席が背中合わせになっている点です。しかし、これらの単車は乗車している人の周りを回転するのではなく、背中からずっと後ろに離れた共通の点の周りを回転するため、乗車した人が不快感を訴える原因となりました。また、横方向の動きがないことも特徴です。そのため、一部のファンはこれを4次元コースターとは考えていません。

S&S 4D Free Spin

2012年後半、S&S Worldwideは、Intamin ZacSpinと同様の特徴を持つ「4D Free Spin」という新たな構想を発表しました。各車両に2つの座席列があり、各列は独立して回転します。回転軸が乗客の質量中心にあるため、乗り心地が大幅に向上しています。ZacSpinと同様に、座席は自由に回転しますが、いくつかのトラックセクションの間に磁石のシステムが組み込まれており、制御された反転を可能にしています。

インタミン ZacSpin 第2世代

2016年、インタミンは4D Free Spinのように独立して回転する2つの座席列と乗客の重心に回転軸を置き快適さを向上させることを特徴とする最新版を発表しました。

反転のあいまいさ

これらのコースターの回転が記録を目的とした反転とみなせるかどうかについては、ジェットコースターのコミュニティにおいて多くの議論があります。ギネス世界記録では、「足が頭よりも高い位置にくる事」が回転の定義となっており、「ええじゃないか」に14反転の記録を与えています。しかし、ジェットコースター・データベースのようなコースターに特化した記録媒体では、この主張を認めておらず、「軌道」の反転のみを数え、イギリス・オルトンタワーズの「The Smiler」に14反転の記録を与えています。

4次元コースターは、その複雑な設計と予測不能な動きにより、世界中の遊園地で人気を博しています。それぞれの機種が独自の体験を提供し、スリルを求める人々を魅了し続けています。

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