シックス・フラッグス

シックス・フラッグスは、北米を代表する遊園地およびテーマパーク運営会社として知られています。正式名称はSix Flags Entertainment Corporation（SIX）です。そのアトラクションは、スリルとスピードを追求した絶叫マシン、特に多様なローラーコースター群が最大の魅力となっています。また、ワーナー・ブラザースとのライセンス契約に基づき、ルーニー・チューンズをはじめとする人気キャラクターたちが園内各所でゲストを楽しませています。2024年7月、同業大手のシーダー・フェアーと合併し、新たな「シックス・フラッグス」として再出発しました。新会社はノースカロライナ州シャーロットに本社を置き、広範な施設網を持つ地域エンターテイメントの巨人となりました。

起源と発展

シックス・フラッグスの歴史は、1960年にテキサス州アーリントンで不動産業者によって開設された遊園地「シックス・フラッグス・オーバー・テキサス」に始まります。この名称は、テキサスの地に翻った過去6つの国家の旗にちなんだもので、初期のパークはディズニーランドに影響を受けたデザインで、歴史的なテーマエリア、鉄道、駅馬車などが特色でした。しかし時代と共に、アトラクションの中心は次第に絶叫マシンへとシフトしていきました。

拡大と買収の時代

1966年、経営多角化を進めるペンシルバニア鉄道の子会社に買収されたことで、潤沢な資金を得て敷地やアトラクションの拡張が加速。ジョージア州など他地域への進出も始まりました。1970年代以降は、全米各地の既存遊園地を積極的に買収してチェーンを拡大。1982年には、ピンボールなどを製造・販売していたバリー・マニュファクチャリングの傘下に入ります。この時期の特筆すべき出来事として、1984年のイリノイ州「マリオット・グレート・アメリカ」買収があります。これにより、グレート・アメリカが持っていたワーナー・ブラザースとのルーニー・チューンズ使用契約がシックス・フラッグス・チェーン全体に適用されることになりました。1987年には投資会社に買収され、その後タイム・ワーナー・グループが徐々に株式を取得し、1991年には50%の権益を保有するに至ります。

プレミア・パークスによる買収と海外展開

1998年、既にテーマパークチェーンを運営していたプレミア・パークスがタイム・ワーナーからシックス・フラッグスを買収します。プレミア・パークスは、もともとオクラホマ州の不動産会社ティエルコが、買収した遊園地の運営が成功したことから事業転換して成長した企業でした。シックス・フラッグス買収後、プレミア・パークスはドイツやスペインのワーナー・ブラザース映画テーマパークも取得し、さらにメキシコやカナダの遊園地チェーンも買収。2000年代には社名を「シックス・フラッグス」に変更し、ヨーロッパ（フランス、ベルギーなど）へも展開を広げ、国際的なパーク運営会社としての地位を確立します。

経営の困難と再建

しかし、急激な拡大は負債の増大を招き、経営は困難に直面します。2004年にはヨーロッパ事業からの全面撤退を余儀なくされ、その後も全米各地のパーク売却や閉鎖、本社移転といった経営再建策が講じられましたが、状況は好転せず、2009年6月には連邦倒産法第11章の適用を申請し、経営破綻に陥りました。34億ドルという巨額の負債を抱えましたが、その後、再建計画を経て2010年5月に破産状態から脱しました。この再建過程で、本社は再びテキサス州グランドプレーリーに戻されています。

シーダー・フェアーとの合併

長らく北米の遊園地業界で主要な存在であったシックス・フラッグスは、2023年11月、同じく有力な遊園地運営会社であるシーダー・フェアーとの大型合併協議を発表しました。この合併は、2024年7月に正式に完了し、評価額80億USドルにも上る、世界最大の地域娯楽施設運営企業が誕生しました。形式上はシックス・フラッグスの名称が引き継がれましたが、シーダー・フェアーが新会社の株式の51%を保有する実質的な多数株主となります。新本拠地はノースカロライナ州シャーロットに置かれ、合併により両社が持つ豊富な施設群、すなわち遊園地27、ウォーターパーク15、リゾート9を含む計51の施設を統合的に運営していくことになりました。北米各地には、メリーランド州のシックス・フラッグス・アメリカ、カリフォルニア州のシックス・フラッグス・マジック・マウンテン、テキサス州のシックス・フラッグス・オーバー・テキサス、カナダ・ケベック州モントリオールのラ・ロンドなど、多くのシックス・フラッグス・ブランドのパークが存在し、今後もこの新しい体制のもとで運営が続けられます。

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