4320p

4320p（8K）: 超高精細映像の世界

4320p、または8Kとして広く知られるこの映像解像度は、アスペクト比16:9で有効垂直解像度が4320ピクセルという規格です。これは、正方形ピクセルを仮定した場合、7680×4320ピクセル、すなわち約3317万画素に相当します。2012年当時主流だった1080iと比較すると、縦横それぞれ4倍、画素数にして16倍もの情報量を誇ります。

人間の視覚と4320p

NHK技研による研究では、水平視野角100°を超える映像サイズになると、人間の臨場感の向上は頭打ちになることが示されています。この視野角は、画面高さの約0.75倍の距離から視聴した場合に達成されます。一方で、画面の粗さを感じさせないためには、水平画素数約8000万画素が必要とされています。この観点から、4320pは解像度において人間の視覚能力の限界に近づく解像度と言えるでしょう。

しかし、臨場感向上のためには解像度だけでなく、フレームレートも重要な要素です。人間の視覚系では、体験の向上が感じられるフレームレートの上限は240fpsとされていますが、現在の4K/8K放送では60fpsが主流です。そのため、今後、フレームレート向上への技術開発が進むと予想されます。8K240Hzの撮影技術は研究段階であり、実用化にはまだ時間がかかると考えられます。

4320pの名称と規格

4320pは、ITU-R BT.1769（2006年）やSMPTE 2036-1（2007年）といった国際規格に含まれており、ITUではUHDTV（Ultra High Definition Television）、つまり超高精細テレビの一部として位置づけられています。2012年5月には、4320pをUHDTVにおける8Kとして呼ぶことが勧告され、「8K UHDTV」「8K UHD」といった名称が定着しました。また、総務省では、現行の1080iを2Kと呼び、4Kと8Kをまとめて「スーパーハイビジョン」と称しているため、「スーパーハイビジョン8K」と呼ばれることもあります。さらに、UHDTV Level 2、UHDTV-2、8K Ultra HDといった呼称も用いられています。ただし、デジタルシネマ向けの4K（4096×2160）とは異なる点に注意が必要です。

4320p撮影技術の進化

4320p映像の撮影には、様々な技術が用いられています。カメラの性能は大きく分けて以下の4種類に分類できます。

1. フルスペック三板方式（8K×3枚 R/G/B）: 各色に8Kセンサーを使用する高解像度方式。
2. デュアルグリーン四板方式（4K×4枚 R/B/G1/G2）: 緑色のセンサーを2枚使用し、解像度を補間することで4320pを実現するコストを抑えた方式。
3. ベイヤー配列8K単板方式（8K×1枚）: 1枚の8Kセンサーとベイヤー配列フィルターを用いてカラー情報を生成する方式。
4. ベイヤー配列16K単板方式（16K×1枚）: 1枚の16Kセンサーを用いることで、8K以上の高画質を実現する方式。

初期のカメラは大型で重量がありましたが、技術革新により小型軽量化が進み、2012年には4kg台の小型ビデオカメラが開発されました。2020年には、スマートフォンでも8K撮影が可能になるなど、技術の進歩は目覚ましいものがあります。

4320pディスプレイと伝送技術

ディスプレイについても、初期は複数のプロジェクターを組み合わせた方式が用いられていましたが、その後、高精細な液晶ディスプレイやプラズマディスプレイが開発されました。2017年には民生用8K液晶テレビが発売開始され、現在では8K対応テレビも普及しつつあります。

伝送技術においては、初期は光ファイバーによる非圧縮伝送が用いられていましたが、その後、MPEG-2、H.264、H.265といった圧縮技術が開発され、より効率的な伝送が可能となりました。2011年には、NHKが世界で初めて地上波での4320p伝送に成功しています。衛星放送による8K放送も開始されており、伝送技術は更なる進化を遂げています。

4320pを用いた放送と撮影

4320pは、オリンピック中継やスポーツ中継、音楽番組など、様々な場面で活用されています。NHKは、スーパーハイビジョンを用いた様々な番組制作を行い、その技術を蓄積してきました。

4Kとの比較

4K UHD（Ultra High Definition）は2160pの解像度を持つ規格です。8Kである4320pと比較すると、解像度は1/4となります。

まとめ

4320pは、人間の視覚能力の限界に迫る超高精細映像規格です。その実現には、カメラ、ディスプレイ、伝送技術など、様々な技術革新が不可欠でした。現在では民生用機器も普及し始め、今後の更なる発展が期待されています。

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