50口径三年式14cm砲

50口径三年式14cm砲

50口径三年式14cm砲は、日本海軍が開発した艦載砲であり、特に戦艦や軽巡洋艦に搭載されていました。この砲は、艦船の副砲や主砲として使用され、太平洋戦争にも広く活躍しました。

開発の背景

この砲の開発は、日本海軍が欧米の艦砲と比較してコンパクトでありながら、効率的な火力を求めていた時期に行われました。従来の副砲、特に50口径四十一式15cm砲は、重い弾丸（45.4kg）を使用していましたが、日本人の体力や技術力から、人力での長時間連続発射が難しいとされていました。そこで、より軽量な弾丸を使用できる速射砲の開発が促されました。

性能と仕様

1914年に制式化された50口径三年式14cm砲は、弾丸重量を38kgに軽減し、射撃速度の向上を図りました。一方で、最大射程はほぼ変わりないものの、一発あたりの打撃力は若干低下するという特性を持ちました。この砲の設計には、射程を重視した55口径の14cm砲が試作されており、最大射程は20,900mに達しましたが、八八艦隊計画が放棄されると同時に開発は中止されました。

搭載方法

この砲は、戦艦にはケースメート式の単装砲として設置されました。軽巡洋艦に搭載される場合は、後方が開放された単装砲架が使用されており、連装砲型では一部の仕様を除いて砲員を防護する設計となっていました。

活躍の場と改装

50口径三年式14cm砲は、多種多様な艦艇に搭載され、戦艦や軽巡洋艦、さらには給油艦や給糧艦などでも活躍しました。特に硫黄島の戦闘では、要塞砲としても用いられました。

その一方で、平射砲であり対空戦闘能力に乏しかったため、戦時中に多くの艦船が改装される際、しばしばこの砲が撤去され、その代わりに高角砲などに変更されることがありました。たとえば、伊勢型戦艦が航空戦艦に改装される際や、5500トン型軽巡洋艦の改装時にもその傾向が見られました。

主な搭載艦船

この砲は多数の艦艇に搭載され、それぞれ異なる方法で運用されました。具体的には、以下の艦船に搭載されました：

• - 単装砲: 戦艦「伊勢型」「長門型」、航空母艦「鳳翔」、巡洋艦「天龍型」、「夕張」、給油艦「野間」、給糧艦「間宮」など。
• - 連装砲: 巡洋艦「夕張」、水上機母艦「日進」や、潜水母艦「迅鯨型」などに搭載。

結論

50口径三年式14cm砲は、その軽量で設置が容易な特性から、太平洋戦争を通じて多くの艦艇で使用され、重要な役割を果たしました。この砲の設計と運用は、日本海軍の艦砲技術の進歩を象徴しています。

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