60式空挺傘

60式空挺傘

60式空挺傘は、陸上自衛隊の空挺部隊、特に第1空挺団において、隊員が航空機から降下する際に使用されるパラシュートです。このパラシュートは、空挺作戦における隊員の安全確保に不可欠な装備であり、A型からC型までの形式が存在します。

構造と諸元

60式空挺傘は、主傘と予備傘の二つの傘で構成されています。それぞれの傘は異なる役割と特性を持っています。

主傘

傘体形式: 平面複合楕円傘
傘直径: 約11000mm
重量: 約15kg
開傘時間: 4秒以内
降下速度: 6.2m/秒

主傘は、隊員の降下を安定させるための主要な役割を担います。その形状は、降下時の空気抵抗を最適化し、安全な速度での降下を可能にします。

予備傘

傘体形式: 平面傘
傘直径: 約7300mm
重量: 約6kg
開傘時間: 3秒以内
降下速度: 7.5m/秒

予備傘は、主傘が正常に開かなかったり、使用中に故障した場合にのみ使用される緊急用のパラシュートです。主傘よりも開傘時間が短く、降下速度が速いのが特徴です。

特徴

60式空挺傘の特徴的な点は、主傘を背中に、予備傘を前方に取り付ける点です。この配置により、主傘に異常が発生した場合、迅速に予備傘を展開することができます。自動索は外包装部分にむき出しになっており、自働索管の安全機構は折り曲げピンを採用しています。また、縛帯4点式の結合具兼解脱具が胸部に配置されており、装着者の安全を確保します。操縦索は付いておらず、旋回速度も空挺傘696M1と比較して約1秒ほど遅いです。

運用と整備

降下後、使用されたパラシュートは、第1空挺団空挺後方支援隊の落下傘整備中隊や陸上自衛隊需品学校に所属する専門の隊員によって、一つ一つ丁寧に折りたたまれ、元の状態に戻されます。この整備作業は、パラシュートの性能を維持し、次の降下作戦に備えるために不可欠です。

製造

60式空挺傘は、日本の航空機部品メーカーである藤倉航装によって製造されています。藤倉航装は、長年にわたり、自衛隊の航空機用装備品やパラシュートを製造しており、その高い技術力と品質は広く認められています。

関連項目

* 陸上自衛隊の装備品一覧

60式空挺傘は、陸上自衛隊の空挺作戦において、隊員の命を預かる重要な装備品です。その設計、製造、運用、整備のすべてにおいて、高い専門性と技術力が求められます。

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