68式155mm迫撃砲

68式155mm迫撃砲の概要と特性

68式155mm迫撃砲（ろくはちしき155ミリはくげきほう）は、陸上自衛隊によって開発された迫撃砲であり、日本の兵器史において特異な存在を示しています。本砲はアメリカ軍から供与された107mm迫撃砲の代替として、特に山岳地帯での火力支援を目的に開発されました。しかし、製造されたのは試作段階までであり、量産には至りませんでした。製作には神戸製鋼所が関与しました。

開発の経緯

68式155mm迫撃砲の開発は1955年に始まりました。当初は試製56式特殊運搬車（後の61式特殊運搬車）での運搬を考慮してデザインされました。翌年には一次試作砲が完成しましたが、特殊運搬車への分解積載を行うために、底板の2分割式への改修が施されたものの、強度の問題が明らかとなりました。この問題を克服するために、1958年には軽量化や各種改良を進めた二次試作砲が製作されました。

二次試作段階では、砲身の長さが異なる2種類の砲が作られ、性能比較が実施されました。その結果、射程の長さが評価された長砲身型が選定されました。その後、1959年にはチタン合金を使用して軽量化を図り、底板の安定性も改善されました。

発射方式と射程

68式155mm迫撃砲は、砲弾を砲身に落とし込む従来の発射方式に加え、拉縄を使用した撃発方式も採用可能です。二次試作砲の最大射程はなんと6,300mであり、当時使用されていた107mm迫撃砲の最大射程である4,000mを大きく上回る性能を示しました。しかし、肝心の61式特殊運搬車が量産化されなかったため、68式155mm迫撃砲は正式には1968年に制式化されただけで、実際の運用には至りませんでした。

諸元と性能

本砲のスペックは以下の通りです：

• - 種別: 迫撃砲
• - 口径: 155 mm
• - 砲身長: 1,365 mm
• - 重量: 900 kg
• - 全長: 2,500 mm
• - 全幅: 1,400 mm（最大射角等）
• - 全高: 1,400 mm（最大射角等）
• - 俯仰角: 45-65度
• - 旋回角: 左右4.5度
• - 最大射程: 6,000 m
• - 弾薬: 68式155mm迫撃砲リュウ弾など

現在の状況

68式155mm迫撃砲は量産されなかったため、現在は珍しい兵器となっています。現存する砲は、陸上自衛隊の土浦駐屯地にある陸上自衛隊武器学校に展示されており、かつての研究や開発の成果を見ることができます。日本の防衛史において、68式155mm迫撃砲は、様々な課題を経て形だけでも制式化された独特な装備品として記憶されています。

参考文献

本砲に関する詳細情報は「戦車マガジン」No.20（1979年6月号）にも掲載されています。また、関連項目としては、陸上自衛隊の装備品一覧や61式特殊運搬車、試製57式105mm軽りゅう弾砲などがあります。

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