火力支援

火力支援とは

火力支援（かりょくしえん、英: Fire support）は、近接戦闘部隊の戦術および作戦行動を効果的にサポートするために行なわれる、さまざまな形態の火力の投射を指します。これには敵部隊に対する制圧や混乱を目的とした行動が含まれ、戦闘状況において重要な役割を果たします。

目的

火力支援の主な目的は、敵の戦闘能力を減少させることです。これを実現するために、敵部隊を混乱させ、制圧することが求められます。火力支援は通常、砲兵部隊や航空機によって行われますが、近接戦闘部隊の中でも機動部隊と掩護部隊を効果的に組み合わせて行われることが一般的です。このアプローチは「射撃と運動」の原理として知られており、機動部隊が火力支援のもとで安全に前進することを可能にします。ただし、過度にこの理論に依存すると、機動・突撃部隊の兵力が不足する場合があるという注意点も存在します。

手段

火力支援は、以下のような多様な手段によって実施されます：

小火器

小火器には、重機関銃、迫撃砲、対戦車ミサイルなどが含まれます。これらは主に歩兵部隊が自ら所有する火力支援手段です。また、戦車も近接戦闘とともに火力支援の役割を果たすことがあります。

重火器

陸軍の戦略・作戦単位は通常、諸兵科連合で構成されており、砲兵部隊の協力を得て行動します。また、沿岸や河川、島嶼地域では、海軍による艦砲射撃も火力支援の一部として利用されます。

近接航空支援（CAS）

近接航空支援は、陸軍航空隊の攻撃ヘリコプターや空軍の戦闘爆撃機（攻撃機）を用いて提供されます。陸軍固有の火力である攻撃ヘリコプターによる支援は、特に重要ですが、空軍機も統合作戦において有効な支援手段とされています。ここでは、直接火力支援（DFS）と区別されるケースも見られます。

実施手順

火力支援を実施するにあたっては、まず連携する歩兵部隊との連絡を密にし、射撃エリアや目標を設定します。その後、射撃計画を立て、必要な偵察によって目標の特徴や正確な座標を把握します。目標との位置関係を正確に計算し、射撃に臨む準備を整えます。

また、射撃後には着弾観測を行い、誤差を修正しながら命中精度を向上させることが求められます。これらの手続きは事前に十分に検討されることが望ましいですが、緊急な火力支援も可能であり、その場合は歩兵部隊からの要請に応じて迅速に対応します。ただし、緊急行動では情報の錯綜が生じやすく、正確性の向上が難しいため、誤射や誤爆のリスクが高まることに留意しなければなりません。

参考文献

• - クリス・マクナブ、ウィル・ファウラー『コンバット・バイブル』原書房、2003年。
• - 松村 劭『戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方』PHP研究所、2006年。

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