73式中型トラック

73式中型トラックについて

73式中型トラックは、日本の陸上自衛隊で主に使用されているソフトスキン輸送車両です。本車両は日野自動車とトヨタ自動車の共同設計に基づいており、日野が製造、トヨタが納入を担当しています。部隊内では「1t半」や「中型」、「ヤオトラ」、「キャリア」といった愛称で親しまれています。

開発と背景

このトラックは、先代の3/4トントラックからの後継として1973年に制式化されました。その際、トヨタ製とニッサン製の旧モデルがリプレイスされる形で新たに開発が進められました。前車両はガソリンエンジンを搭載していたため燃費が悪く、時代に合わなくなっていたため、新たに仕様が見直されました。これにより、国産のトラック及び建設機械メーカーが設計競争に参加し、最終的に73式中型トラックが選ばれました。

この車両の主な目的は戦闘ではなく、人員や物資の輸送です。運転席には最大3名が乗車可能で、後部荷台には最大16名の兵員が搭乗することができます。さらに、高機動車の配備と同時に新型の車両も登場し、運用の幅が広がりました。

車両の仕様と変遷

73式中型トラックのバージョンは、製造時期により4つの大別がなされます。最初の頃のモデルでは、日野・レンジャーのコンポーネントが使用されており、パワーステアリングなしの5速マニュアルトランスミッションが採用されていました。その後、パワーステアリングが装備されるなど、改良が重ねられました。

現行のモデルについては、高機動車をベースにしたシャーシが採用されており、フルタイムの4WDシステムが導入されています。また、運転席周辺やエンジンの配置も見直され、運転の快適性が向上しています。フロントバンパーの形状やテールランプのデザインの変更により、旧型との識別も容易になりました。

運用状況

73式中型トラックは、普通科連隊の重迫撃砲中隊の砲車や、資材の運搬などに活用されます。また、通信資材を搭載した通信小隊での運用も見られます。特に、中部方面移動監視隊ではこのトラックに広域用監視装置や全天候型監視室を設置し、情報収集活動にも使用します。

基本性能

• - 全長: 約5,490 mm
• - 全幅: 約2,220 mm
• - 全高: 約2,565 mm
• - 車両重量: 約3,040 kg
• - 積載量: 約2,000 kg
• - 最高速度: 約115 km/h
• - エンジン: 日野製N04C

このように、73式中型トラックは陸上自衛隊の輸送ニーズに応じて進化し続けており、その汎用性と運用性の高さから、依然として重要な役割を果たしています。

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