730 (交通)

730（ナナ・サン・マル）についての詳細

730（ナナ・サン・マル）は、沖縄県の自動車交通が1978年7月30日に右側通行から左側通行に変更されることを周知するためのキャンペーンであり、その日以降はこの変更を指す通称としても用いられています。この名称は、変更が実施される月日である7月30日に由来しています。

実施の背景と経緯

沖縄県では、戦前と同様に自動車は左側通行でしたが、沖縄戦後にアメリカ海軍政府の指示で1945年の段階で右側通行に変更されました。この状況は、本土復帰を果たした1972年まで続きました。その後、国際的な交通ルールと一致させるために、1975年に左側通行に戻す方針が策定されました。政府は当初1976年に変更を実施する計画でしたが、沖縄国際海洋博覧会の開催を優先するために、実施は1978年に延期されました。

この変更は沖縄県の復帰を象徴する重要なプロジェクトであり、法的にも1977年に公布された政令により正式に定められました。

変更作業の具体的実施

変更を実施するにあたり、事前に準備が進められました。幹線道路では、変更後の左側通行に合わせた標識や信号機を設置し、それらをカバーで覆っておきました。また、道路標示も事前に描いて覆い隠すという方法が取り入れられました。この手法は「カバーアンドテープ方式」と呼ばれ、その名は発案者の久高弘から来ています。作業は効率的に行われ、沖縄全域で無事故のまま切り替えが行われました。

変更は1978年7月30日の早朝に行われ、約800人の作業員と300台の車両が動員されました。その作業は約8時間かけて行われ、6時にはすべての車両が新しい通行方法に従って走行し始めました。この瞬間を見守る多くの県民の姿がありました。変更作業の後も、信号機の調整や標識の撤去、交通の改善などが続けられました。

変更日以降の交通状況

変更後、交通整理が必要となったため、全国から約3000人の警察官が横断的に支援しました。バスの運行も左右の乗降口の変更が必要であったため、バス事業者は警察と協力し、十分な訓練を行うこととなりました。しかし、新しい通行方法には多くの運転手が不慣れであり、直後には事故も発生しました。特に交通渋滞が深刻で、バスが定時に運行できない事態が続きました。

広報活動

730の変更に際し、沖縄県は県民への周知を目的にさまざまなメディアで「730キャンペーン」を展開しました。特にテレビCMには著名なプロボクサーの具志堅用高が出演し、「人は右、車は左」といったスローガンを打ち出しました。また、沖縄県内で「クイズ730」などの番組が放送されました。短編映画『沖縄730 道の記録』も制作され、変更に関する記録が残されています。

県民の反応と影響

この交通変更は沖縄県民にとって、大きな関心事であり多くの意見が寄せられました。政府は具体的な実施要項を示さず、県民の不安が高まりました。7月の実施に向けて様々な工事や準備が進められましたが、変更後の定期的な交通の混乱も引き起こされました。業種によっては影響を受け、経済的な困難を抱える店舗も多くありました。

記念碑と文化的な影響

730の施行後、県内では記念碑も建立され、沖縄県庁や石垣市、宮古島市などにその名称を冠した場所が存在します。施行から30周年、40周年の際には特別な記念イベントが行われ、交通変更の記憶が多くの人々に語り継がれています。

このように730は沖縄県の歴史における重要な出来事であり、今日の交通システムにおける基盤となっています。

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