8mm (映画)

8ミリの深淵：映画『8mm』とその衝撃的な物語

1999年公開のアメリカ映画『8mm』は、私立探偵トム・ウェルズの身に降りかかる、衝撃的な事件を描いたサスペンススリラーです。裕福な未亡人から依頼された一見簡単な調査が、残虐なポルノ映画の裏社会へと彼を導き、想像を絶する闇を暴いていきます。

物語は、未亡人の夫の金庫から発見された、少女の殺害を記録したとされる8ミリフィルムの真偽を確かめるという依頼から始まります。トムは、依頼主である未亡人と彼女の弁護士から、極秘裏に調査を進めるよう厳命されます。

調査を進める中で、トムは殺害された少女がマリー・アン・マシューズであることを突き止めます。彼女の母親を訪ね、マリー・アンの日記を入手したトムは、ハリウッドで女優になる夢を抱いていた少女の日常と、その悲劇的な最期とのギャップに衝撃を受けます。

ハリウッドの成人向けビデオ販売店の店員マックスの協力を得て、トムは残虐なポルノ映画の世界へと足を踏み入れます。そこで彼は、ディノ・ヴェルヴェットという残虐ポルノ映画の監督に出会います。ヴェルヴェットの映画には、「マシン」と呼ばれる仮面の男が女性に暴行を加えるシーンが頻繁に登場し、それは未亡人の夫の金庫にあったフィルムの犯人によく似ていました。

更なる証拠を得るため、トムはヴェルベットにBDSM映画の制作を依頼する顧客を装います。罠にはまったトムは、依頼主の弁護士と、残虐ポルノに関わっていたエディ・プールに襲われます。そこで、8ミリフィルムが本物であることが判明します。

実は、未亡人の夫は弁護士にフィルムの入手依頼をしており、入手できなかった弁護士がヴェルベットとプールに制作を依頼していたのです。そして、トムは、「マシン」とマックスを拉致され、フィルムを奪われそうになります。激しい争いの末、ヴェルベットと弁護士は殺され、トムは「マシン」を負傷させ、逃走します。

トムは未亡人に真実を伝え、警察に通報するよう説得しようとしますが、未亡人は既に自殺していました。彼女はマリー・アンの家族とトムに手紙を残しており、トムは依頼料の残金と「私達を忘れてほしい」というメッセージを受け取ります。危険を察知したトムは、妻にも危険が迫っていることを告げ、身を隠させます。

正義を貫くため、残りの関係者を始末することを決意したトムは、プールを殺害し、「マシン」ことジョージを倒します。家族の元へ戻ったトムは、この事件で見たもの、体験したものの重圧に耐えかね、精神的に深く傷ついています。

数ヶ月後、トムはマリー・アンの母親から感謝の手紙を受け取ります。手紙には、娘の死という悲劇を乗り越えることができないものの、トムがマリー・アンのために戦ってくれたことに対する深い感謝の気持ちが綴られていました。

2005年には、キャストを変え、『8mm II』がビデオ映画として制作されました。前作の世界観を受け継ぎながらも、新たな事件と登場人物が登場する続編は、前作同様に衝撃的な内容となっています。しかし、前作ほどの高い評価は得られず、商業的な成功は収めませんでした。

『8mm』は、その衝撃的な描写と複雑な人間模様、そして残虐な現実を突きつける物語で高い評価を得た一方で、過剰な暴力描写や倫理的な問題点についても指摘されています。しかし、現代社会の闇を鋭くえぐり出すその内容は、観る者に強い印象を残す作品となっています。Rotten Tomatoesでは84件のレビューで支持率23％、Metacriticでは20件のレビューで加重平均値19/100と、批評家の評価は高くありませんでした。

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