9月30日事件

9月30日事件

1965年9月30日に発生した「9月30日事件」は、インドネシアにおける重要な軍事クーデター未遂事件です。この事件は、国軍とインドネシア共産党（PKI）の間の権力闘争、経済政策の失敗、国際的な孤立といった複合的な要因が絡み合ったものでした。

概要

事件は、国軍の一部がクーデターを試みたものの、最終的には失敗に終わりました。ただし、一般的には、その後のスハルト陸軍少将による共産党の掃討作戦を含めて「9月30日事件」と呼ばれることが多いです。これは、共産党の影響力を排除し、スハルト政権を確立する結果となりました。

この事件以前、スカルノ大統領が推進した政策は、多くの経済的困難を招き、国内の混乱を引き起こしていました。また、国軍と共産党の対立は激化しており、スカルノ自身もその板挟みの状況にありました。

背景

スカルノはインドネシア建国の父としての地位を持ちながら、経済政策の失敗とその影響から国民の不満を招いていました。その結果、1965年に国内の政治状況は不安定になり、特に国軍内部での対共産党感情が高まっていました。また、スカルノの外交政策も独立国家としての孤立を招く要因となっていました。

国軍のリーダーシップは改革を進め、共産党に対抗する姿勢を強化していましたが、スカルノは両者をバランスよく扱おうとしました。しかし、健康悪化や国政を巡る不安から両者の緊張関係が最高潮に達したことで、事件の引き金となりました。

事件の経緯

1965年9月30日深夜、スカルノ大統領の親衛隊によるクーデターが始まり、主要な陸軍将校が襲撃されました。しかし、クーデター部隊の計画は最終的に失敗しました。スハルト少将が迅速に指示を出し、反応を見せたことで、クーデターは制圧されました。

クーデターの失敗後、スハルトは権限を持ち、共産党に対する大規模な掃討作戦が始まりました。この過程で、インドネシア共産党及びその関連組織は壊滅的な影響を受け、多数の人々が排除されることとなりました。特に、共産党員の大虐殺が行われ、多くの命が奪われたことは、世界に衝撃を与えました。

スカルノの行動

クーデター発生時のスカルノは、まずは状況を把握するために動き出しましたが、彼の反応は遅く、疑念が生じました。彼がさらに軍との距離を置いたことで、彼への信頼は揺らぎ、最終的にはスハルトに権限を委譲しました。スカルノはその後、事実上の政治的存在としての地位を失うこととなるのです。

影響とその後

この事件の直接的な結果は、インドネシア共産党の壊滅とスハルト政権の確立でした。スハルトは1966年に正式に大統領に就任し、「新秩序」という政策を打ち出しました。この政策により、インドネシアは西側諸国との関係を強化し、反共主義の立場を取ることになりました。

さらに、スカルノの政治的活動は封じられ、彼は自宅に監禁される形となりました。彼が死去する1970年まで、彼の政治的地位は回復しないままでした。事件は、インドネシアにおける共産主義と国内政治の構造に深刻な影響を与え、今なお議論の対象となる歴史的出来事です。

総括

9月30日事件は、単なるクーデター未遂に留まらず、インドネシアの政治、社会、経済における大きな変革を促しました。この事件を通じて、インドネシアの国民は権力闘争、思想対立、国際的な立場の重要性を改めて認識することとなったのです。

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