93SNA

1993SNA（93SNA）について

1993SNA（または93SNA）は、国際連合が1993年に発表した国民経済計算の新しいフレームワークです。日本では、従来使用されていた68SNAから2000年にこの新体系へと移行しました。この新しい体系の基本的な目的は、国民経済をより正確に、また詳細に把握することにあります。さらに、2016年には内閣府が2008SNAへの移行を行い、経済分析の精度向上をaimしています。ここでは1993SNAの特徴について詳しく説明します。

所得支出勘定の細分化

93SNAでは、経済活動を「非金融法人企業」「金融機関」「一般政府」「家計」「対家計民間非営利団体」という5つの制度部門に分け、それぞれの「所得支出勘定」を細分化しました。この勘定は取引の段階に応じて「第1次所得の配分勘定」「所得の第2次分配勘定」「現物所得の再分配勘定」「所得の使用勘定」と4つに分かれています。このような細分化は、より詳細な分析を可能にし、政策の立案や経済のマクロ的な理解に寄与しています。

調整勘定の細分化

資産変動を分析する際、資本取引以外の要因による影響を明確にするために、新たに設けられた「調整勘定」があります。この勘定は「その他の資産量変動勘定」、「再評価勘定」、「その他」に分類され、資産の変動を様々な角度から捉えることを可能にしています。

消費概念の二元化

93SNAでは消費の概念が二つに分けられています。一方は「最終消費支出」としての費用負担の観点からの定義、もう一方は便益享受の観点に基づく「現実最終消費」です。これにより、同じ消費を異なる視点で分析することができ、より豊かな理解が得られます。

ソフトウェア資産の反映

従来、受注型のコンピュータソフトウェアの購入は中間消費として扱われ、国内総生産（GDP）には含まれなかったのですが、93SNAではこれを新たに「総固定資本形成」として捉え、ストックを「無形固定資産」として分類することにしました。この変更により、より現代の経済活動に即した分析が可能になります。

社会資本の減耗

一般政府が所有する社会資本に関しても、93SNAでは固定資本の減耗分をサービスの対価として、新たに政府の最終消費支出に計上することになりました。このアプローチにより、政府の資産がどのように機能しているかをより具体的に捉えることが可能となりました。

GNPからGNIへ

93SNAでは、従来の国民総生産（GNP）という概念を廃止し、それに代わって国民総所得（GNI）を導入しました。GNIはGDPに海外からの純所得を加えたもので、所得の理解をより正確にするための改良と考えられます。名目GNPと名目GNIは同じですが、実質化の過程での新たな調整が行われ、トレーディング利得を加えることで、より詳細な所得分析が可能となっています。

参考文献

本項の理解を深めるためには、浜田浩児著『93SNAの基礎―国民経済計算の新体系』（東洋経済新報社、2001年）をお勧めします。93SNAについての詳しい情報が記載されています。

関連項目

• - 53SNA
• - 68SNA
• - 2008SNA

93SNAは、国民経済計算の新たな枠組みを提供し、多角的な視点からの経済分析を実現するための重要な進展と言えるでしょう。

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