9M730

9M730 ブレヴェスニク (SSC-X-9 スカイフォール)

9M730「ブレヴェスニク」（ロシア語: 9M730 ”Буревестник”、ラテン文字転写例：Burevestnik）は、ロシアで開発が進められている原子力巡航ミサイルです。ブレヴェスニクとはロシア語でウミツバメを意味し、NATOコードネームではSSC-X-9 スカイフォール (Skyfall) と呼ばれます。最大の特徴は原子力推進を採用していることで、これにより射程は理論上無制限になるとされています。

このミサイルは、2018年3月1日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が発表した6つの新型戦略兵器の一つとして公表されました。

開発の背景

ロシアは、アメリカを中心とするミサイル防衛システムを突破可能な大陸間核戦力として、極超音速兵器や原子力巡航ミサイルの開発を積極的に進めています。原子力巡航ミサイルは、既存のミサイル防衛システムを突破できる能力と、長大な射程距離を持つことが期待されています。

名称の「ブレヴェスニク（ウミツバメ）」は一般公募によって決定されました。これは、ロシアの軍事的優位性を国民にアピールする目的もあったと考えられています。ミサイルの核となる原子力推進ユニットの試験は、2019年1月に成功裏に完了したと発表されています。

ブレヴェスニクと類似したプロジェクトとして、原子力推進式の海中ドローン「ポセイドン」が存在します。ポセイドンも小型の原子力推進ユニットを中心に構成されています。

試験中の事故

2019年8月9日、ロシア国営原子力企業ロスアトムは、ロシア北部のセヴェロドヴィンスク近郊に位置するニョノクサミサイル試験場において、「液体燃料ロケットエンジン用核動力源」の試験中に事故が発生し、放射性物質が放出され、8人が死亡したことを発表しました。その後、発表は「液体推進システム中の核動力源」へと修正されました。

一部報道機関は、この事故がブレヴェスニクの試験中に発生した可能性を指摘していますが、ロシア国防省は詳細な情報をほとんど明らかにしていません。核不拡散問題の専門家であるジェフリー・ルイス氏や、アメリカ科学者連盟のアンキット・パンダ氏は、ロシア国防省が行ったロケットの推進方式に関する説明に疑問を呈しています。

プーチン大統領は2019年11月21日、「無限の射程を持つ比類のない有望な新兵器システムを改善し続ける」と述べており、ブレヴェスニクの開発を継続する意向を示唆しています。

関連項目

ポセイドン (原子力潜水ドローン)
Kh-47M2 キンジャール
RS-28
RD-0410
NERVA
ローバー計画
プルート計画
超音速低高度ミサイル

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