A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー

A GHOST STORY／ア・ゴースト・ストーリー

2017年に製作されたアメリカ合衆国のファンタジー映画。監督はデヴィッド・ロウリーが務め、主演にはケイシー・アフレックとルーニー・マーラが起用されました。このトリオは、2013年の作品『セインツ -約束の果て-』でも共に仕事をしており、本作は彼らにとって二度目の協業となりました。

物語の概要

物語は現代のダラスを舞台に展開します。ごく普通の生活を送っていた一組の夫婦。しかし、夫は突然の自動車事故により命を落としてしまいます。彼の魂は現世に留まりますが、その姿は白いシーツを被った幽霊として具現化します。彼は言葉を発することも、自らの存在を示すこともできず、ただ静かに未亡人となった妻の傍らに寄り添います。

この幽霊の視点を通して、映画は時間という概念、そして喪失と変化を深く掘り下げていきます。妻が悲しみから立ち直り、新しい生活へと歩みを進める様子、家という空間が次の住人に引き継がれ、やがて取り壊され、街並みが変容していく様が描かれます。幽霊は、特定の場所に縛られたまま、人間にとっての時間の流れとは全く異なるスケールで、世界の営みをただ見守り続けるのです。それは、愛する人を失った後の静寂、記憶の風化、そして存在の痕跡についての瞑想的な探求となります。

製作背景

デヴィッド・ロウリー監督は、ディズニー映画『ピートと秘密の友達』のポストプロダクション作業を終えた後、本作の製作に着手する構想を持っていました。脚本は2016年の春に執筆されています。同年11月には正式な製作決定が発表され、ケイシー・アフレックとルーニー・マーラが主演を務めることが明らかになりました。その後、歌手としても知られるケシャがキャストに加わることが報じられています。

撮影は2016年6月から主要なパートが開始されました。本作の舞台となる一軒家は、皮肉にも撮影時には既に解体作業が進められている最中でした。この状況を逆手に取り、製作陣は家を無料で借り受けることができたというエピソードがあります。この解体中の家というロケーションは、映画が描く「失われていくもの」「時間の経過」というテーマに偶然にも深く呼応することとなりました。

キャスト

主要キャストとして、シーツ姿の幽霊となる「C」をケイシー・アフレックが、その妻である「M」をルーニー・マーラが演じました。その他にも、ウィル・オールドハムが「預言者」、ソニア・アセヴェドが「マリア」、ロブ・ザブレッキーが「先駆者」、リズ・フランケが「リンダ」、グローバー・コールソンが「車椅子の男」、ケネイシャ・トンプソンが「医者」、バーロウ・ジェイコブスが「求婚者」、マコム・ケパ・Jrが「子供」、そしてケシャが「幽霊女」として出演しています。

音楽

本作の音楽は、ダニエル・ハートが担当しました。彼の作曲による劇伴は、映画の静謐で内省的な雰囲気を深く支えています。サウンドトラックは、ミラン・レコーズより2017年7月7日に発売されました。

公開と評価

『A GHOST STORY／ア・ゴースト・ストーリー』は、2017年1月22日に開催されたサンダンス映画祭のプレミア部門で初めて一般に公開されました。映画祭での上映に先立ち、配給会社A24が本作の世界配給権を獲得しています。

興行成績としては、アメリカ国内で公開初週にわずか4館での上映ながら、10万4300ドルの興収を記録し、一館あたりの平均興収は2万6008ドルという好調なスタートを切りました。この数字は、その週の興収ランキングで26位にランクインするものでした。最終的なアメリカでの累計興収は159万6371ドルとなりました。

批評家からの評価は概ね非常に高く、肯定的なレビューが多く寄せられました。映画批評サイトRotten Tomatoesでは、230件のレビューのうち91%が本作を支持し、平均評価は10点満点中7.9点となっています。また、Metacriticでは、46件の批評家レビューに基づく加重平均スコアであるMetascoreが100点満点中84点を記録しました。一方、同サイトのユーザーレビューでは、163件の評価に基づいて10点満点中6.9点となっています。総じて、本作は批評家・観客双方からその芸術性とテーマ性が賞賛されています。

受賞やノミネートに関する情報は、入力情報に含まれていませんでした。

この映画は、従来の幽霊物語とは一線を画し、静かで詩的な映像を通して、生と死、愛と喪失、そして時間の本質について観る者に深く問いかける作品として評価されています。

もう一度検索