A&D (オーディオ)

A&D（エーアンドディー） - オーディオブランドの歴史

A&D（エーアンドディー）というオーディオブランドは、1987年から1993年までの間、赤井電機と三菱電機の合同により展開されていました。このブランド名は、赤井電機を示す「A」と三菱電機のオーディオブランド「ダイヤトーン」を示す「D」の頭文字に由来しています。

設立の背景

A&Dが設立された背景には、赤井電機が三菱グループに参入したことが大きな要因として挙げられます。1980年代に入り、オーディオ市場、特にピュアオーディオ分野は明らかに衰退の兆しを見せていました。この状況下、主力商品であるオーディオ機器の販売に苦しむ赤井電機は、三菱電機との提携によって新たな道を模索することとなりました。

提携の目的と製品

三菱電機はスピーカー製造を手掛ける一方、赤井電機はCDプレーヤーやプリメインアンプ、アナログカセットデッキ、DATデッキ、LD/CDV/CDコンパチブルプレーヤーなどの開発を役割として担いました。この役割分担により、両社はそれぞれの得意分野に専念し、製品開発が進められました。

特にA&Dの製品は、従来のオーディオ専門店だけでなく、三菱電機のストアでも販売されるようになり、多くの消費者にリーチすることができました。これにより、赤井電機は製造を行いながら、販売やアフターサービスは三菱電機に委託する形を取ることで、効率的な運営が実現されました。

市場の変化とブランド消滅

しかし、時代は変わり、ミニコンポやCDラジカセなどのゼネラルオーディオ製品が市場で人気を博していました。そのため、A&Dのような高級オーディオブランドは販売において苦境に立たされました。特に1991年にはバブル経済の崩壊も影響し、業界全体が厳しい状況に直面しました。この年にA&Dの提携は解消され、新製品の開発も終了を迎えることとなります。

最終的に1992年末までに全ての製品が製造され、1993年末には流通在庫が完売されることで、A&Dは名実共にブランドとしての活動を終えるのです。

製品展開と広告

A&Dの製品ラインナップには、優れた音質を誇るミニコンポ「ピークロス」が含まれていました。これは、当時のオーディオ市場で注目された製品の一つで、テレビCMには女優の杉本彩が起用されていました。CMのスタイルは、その頃の三菱電機の広告手法と類似したパターンが見受けられ、視覚的にも消費者に訴求する工夫がされていました。

関連項目

A&Dは、三菱電機やダイヤトーン、さらにはAKAI professionalといった他の企業とも関係が深く、バブル経済期の影響も大きく受けていました。ブランドの成功と失敗は、オーディオ産業全体の動向を映し出す重要な例となっています。

もう一度検索