A-5 (航空機)

A-5およびRA-5: アメリカ海軍の艦上攻撃機

A-5およびRA-5は、1960年代から1970年代にかけてアメリカ海軍が運用した艦上攻撃機および偵察機です。この機体は「ヴィジランティ」という愛称で知られています。A-5は、特に超音速の艦上核攻撃機として設計され、高度な技術と独特の設計が特徴です。

背景と開発

1955年の時点で、アメリカ海軍はダグラスA3Dスカイウォーリアという遷音速の艦上攻撃機を運用していましたが、航空機の技術が急速に進歩する中で、早々にその性能が陳腐化していました。そこで後継機の開発が求められ、ノースアメリカン社が1953年から研究していたNA-233案が採用されました。契約は1956年に結ばれ、仮制式番号「YA3J」を与えられた機体が1971年に試作機として初飛行を果たしました。

1962年には名称が「A-5A」に変更され、1960年12月には、アメリカ海軍の操縦士が1,000kgの荷物を搭載したまま高度27,874.2mまで到達し、その記録は13年間保持されました。

機体の設計

A-5は、高速飛行を可能にするために、クリップド・デルタ形の高翼配置主翼、可動式の尾翼、二次元可変インテイクを採用した前衛的な設計が施されています。2基のJ79ターボジェットエンジンが搭載されており、これにチタン製の構造部が用いられるなど、航空機開発における新しい試みが数多く見られます。この機体は、後の高速機であるMiG-25やF-15の先駆けとも考えられています。

主翼の外皮は、アルミニウム・リチウム合金から作られ、工法として一体成形が採用されました。これは、高速化を図るための重要な要素でしたが、着艦速度の管理が難しく、操縦士にとっては難易度の高い操作が要求されました。

兵装と搭載能力

A-5の最も興味深い点は、その核爆弾を運ぶリニアボムベイの設計です。双発エンジンの間に設けられたこの弾倉では、核爆弾と増設燃料タンクを連結して収容することが可能で、爆弾投下時には速度低下を抑えたまま、後方に射出する仕組みを備えていました。しかし、運用時においては、燃料タンクが加速中に脱落するなどのトラブルも報告されています。

また、主翼下には複数のハードポイントがあり、必要に応じて各種兵器を装備することも可能で、特にリニアボムベイを利用した核作戦が主眼とされていましたが、その外部兵装は超音速飛行時に性能に影響を及ぼすため、通常はリニアボムベイのみを使用しました。

配備と運用

1961年に、訓練部隊の第3重攻撃飛行隊から配備が開始されました。A-5は1962年から実戦に投入され、特にキューバ危機時には大きな役割を果たしましたが、1964年には実戦部隊での就役が終了しました。これには、ソビエトの防空体制と潜水艦発射弾道ミサイルの進展が影響しています。

偵察機への改修

その後、攻撃任務から外されたA-5は、1962年から偵察機型のRA-5に改修され、特にベトナム戦争ではその実力を発揮しました。RA-5は新たに様々な偵察装置を搭載し、高速飛行を活かした偵察任務を担いましたが、運用には多くの困難も伴いました。最終的に、1979年にはRA-5Cは全機退役することとなりました。

結論

A-5およびRA-5の開発と運用は、アメリカ海軍の航空戦力において重要な一歩を示しています。高速性と機動性を追求したこの機体は、その技術的革新と役割の変遷を通じて、冷戦時代の航空機開発において一時代を築いたといえるでしょう。

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