A123・システムズ

A123システムズの歴史と経営の変遷

A123システムズは、アメリカ合衆国に本社を置く電池製造会社であり、主に電気自動車用のリチウムイオン電池を製造しています。この会社は2001年にマサチューセッツ州ウォルサムにて設立され、特にマサチューセッツ工科大学で開発されたオリビン型リン酸鉄リチウム技術を基にした電池の商業化に注力していました。A123システムズの誕生は、2008年に就任したオバマ大統領のグリーン・ニューディール政策によって後押しされ、電気自動車の普及が国の重要な目標とされていました。これを受けて、アメリカエネルギー省からは2億4900万ドルの助成金を得ることに成功しました。

この資金を携えて、同社はミシガン州に生産工場を設立し、さらに中国市場にも進出することで注目を集めます。しかし、順調なスタートを切ったかに見えたA123システムズに、後に厳しい試練が待ち受けていました。

経営の悪化

2011年、A123システムズは多くの自動車メーカーと契約を交わし、製品の納入を開始しました。しかし、そのさなかに発生したフィスカー・カルマという高級ハイブリッド車の火災事故が、同社にとって致命的な打撃となります。この事故では、A123社製のリチウムイオン電池が原因とされ、リコールが発生する事態に至りました。この影響により、A123システムズは約5,500万ドルの負担を強いられ、企業の評判は急落、商談が破談になるなどの影響が出ました。

これらの問題は経営をさらに悪化させ、最終的には2012年に連邦倒産法第11章の適用を申請するに至ります。経営危機の背景には、製品の品質問題だけでなく、経済全体の不況などの要因もあったと考えられています。

買収とその後

A123システムズが破産申請を行った際、大手自動車部品メーカーのジョンソンコントロールズ社が1億2,500万ドルでの買収を試みていました。しかし、その後、万向集団という中国の企業が2億5,600万ドルを提示し、買収交渉を覆しました。この万向集団の買収は、A123システムズの生き残りをかけた重要なステップとなりました。

関連項目

このような経緯の中で、A123システムズは上海汽車との合弁を結び、さらなる発展を目指していました。また、シボレー・スパークなどのモデルにも同社の技術が搭載される予定でしたが、その運命は未だ不透明です。

A123システムズの歴史は、技術革新の先駆者としての挑戦、成果、そして困難な経営の舵取りを示す一例として、今後の電池業界においても注目されることでしょう。

もう一度検索