フィスカー・カルマ

カルマ (Karma)

カルマは、アメリカ合衆国のフィスカー・オートモーティブによって製造された高級プラグインハイブリッドカーです。この車は、環境を意識しつつも高級感と性能を兼ね備えた自動車として位置づけられており、高級PHV（プラグインハイブリッド車）としての特徴を生かしています。

概要

カルマの開発には、アメリカ合衆国エネルギー省が支援する自動車製造先端技術インセンティブプログラムからの低利融資が利用されました。この車は、低コストで量産できるシボレー・ボルトやトヨタ・プリウスとは異なっており、アルミ素材を多用して高級さを追求し、価格は100,000ドルを超えました。車体の製造はフィスカー社自身ではなく、フィンランドのヴァルメト・オートモーティブに委託されています。

そのハイブリッドシステムはシリーズ方式を採用し、リチウムイオン電池を利用して約80キロメートルの距離を走行可能です。バッテリーが尽きると、搭載されているゼネラルモーターズ製の水冷直列4気筒エンジンが稼働し、発電を行います。このエンジンは排気量2.0Lのガソリン直噴ターボエンジンで、高い性能を発揮します。

カルマの販売が開始されたのは、アメリカでは2011年、欧州では2012年のことでした。初号車は有名俳優のレオナルド・ディカプリオに納車され、注目を集めました。

リコールとトラブル

しかし、その販売早々、カルマには多くのトラブルが発生しました。2011年11月には、冷却水の漏れによるバッテリー短絡の恐れが指摘され、239台がリコールされました。また、2012年3月に行われたコンシューマー・レポート誌のロードテスト中にバッテリーが故障し、テスト車両が再始動できなくなるトラブルも報告されました。この車両は320キロメートル未満の走行距離でしたが、テスト後に問題が発生したため、同誌は厳しい評価を下しました。

さらに、A123・システムズの製造過程における問題が原因で、2012年5月には出荷済みの1,400台以上が再度リコール対象となりました。2012年に発生したハリケーン・サンディによる水没事件では、少なくとも16台のカルマが炎上し、これらの問題が相次いだ結果、A123・システムズは破綻し、カルマの生産も大きな影響を受けました。フィスカー社は経営危機に直面し、その後の新規製造が行われることはありませんでした。

フィスカー・オートモーティブの破綻

このような問題が続いた結果、2013年にはフィスカー社の創業者であるヘンリック・フィスカーが退任し、同年11月にはフィスカー・オートモーティブが経営破綻しました。その資産は競争入札を経て、中国の万向集団に買収されましたが、商標権はヘンリックが持ち続けることになります。

その後の展開

経営が破綻したフィスカーの資産には、パワートレインのない状態である「グライダー」と呼ばれるカルマも含まれていました。ゼネラルモーターズの副会長であるボブ・ラッツは、グライダー状態のカルマ25台を購入し、シボレー・コルベットのエンジンを搭載したVLF・デスティーノを北米国際オートショーに出展しました。デスティーノは販売され、VLオートモーティブが設立され生産されることとなりました。

その後、ヘンリック・フィスカーは新しい電気自動車の開発に取り組み、2016年には完全電気自動車を作る会社「フィスカー・インク」を設立しました。

一方、万向集団はA123の製造施設を買い取ってカルマの一貫生産体制を整え、2016年にはカルマ・レベロの販売を開始、実質的にはフィスカー・カルマの新たな販売が再開されました。それにより、カルマの車は新しい形で市場に戻ることとなりました。

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