AAA (コンピュータゲーム産業)

AAAゲームとは

AAA（トリプルエー）ゲームとは、コンピュータゲーム業界において、大手ゲーム制作会社やパブリッシャーが、特に多額の開発費や販売促進費をかけて制作するゲームタイトルのことを指す非公式な格付けです。映画業界における「ブロックバスター」作品に相当し、巨額の費用を投じて制作・宣伝が行われます。

AAAゲームの歴史

「AAA」という用語は、1990年代後半にアメリカでのゲーム業界の会合で使われ始め、2000年6月にはプレスリリースにも登場しました。この用語は、債券格付けで最高ランクを示す「AAA」から派生したと考えられています。初期のAAAゲームは、Xbox 360やPlayStation 3などの第7世代ゲーム機向けに開発され、開発費は1500万ドルから2000万ドル規模に達していました。

AAAゲームの開発費の高騰

AAAゲームの開発費は、世代を追うごとに高騰の一途を辿っています。第7世代では、一部のゲームで開発費が3000万ドル、マーケティング予算が4000万ドルに達する例もありました。第8世代になると、開発に関わる人数も増え、オープンワールドゲームでは400人から600人もの開発者が携わるようになりました。開発費は数億ドル規模に達することもあり、例えば『グランド・セフト・オートV』では、最大2億6500万ドルもの費用が投じられたと推定されています。

AAAゲームのリスクと対策

AAAゲームは開発費が高額なため、収益を上げられなかった場合のリスクも大きくなります。そのため、続編やリブート作品を制作したり、知的財産権（IP）のフランチャイズ化を進めたりすることで、リスクを最小限に抑えようとする動きが見られます。また、テレビCMや看板広告など、映画と同様の宣伝戦略が用いられることもあります。

AAAゲームとインディーゲーム

AAAゲームの開発費が高騰する一方で、インディーゲーム市場も成長を遂げています。インディーゲームでは、イノベーションやリスクテイクが奨励され、少ない費用で大きな効果を上げるための工夫が凝らされています。この対比は、ゲーム業界における多様性と創造性を象徴しています。

AAA+ゲームとは

AAA+ゲームとは、AAAゲームにSoftware as a Service (SaaS) の要素を組み込んだゲームのことです。シーズンパスや拡張パックなどの追加コンテンツを販売することで、継続的な収益を上げる仕組みが導入されています。『Destiny』、『バトルフィールド』、『コール オブ デューティ』シリーズなどがその例として挙げられます。また、ゲーム内アイテムの販売で収益を上げる『オーバーウォッチ』や『League of Legends』などもAAA+ゲームに分類されることがあります。

Triple-Iゲームとは

Triple-I（トリプルアイ）ゲームとは、インディーゲーム市場において、比較的高額な予算と熱意を持って制作される、高品質な自主制作ゲームを指す言葉です。

AAAゲームの問題点

AAAゲームの開発現場では、過酷な労働環境（クランチタイム）や過度なプレッシャーが問題視されています。また、収益最大化を目的としたフォーカスグループによるテストが、ゲーム内容や深みを犠牲にする可能性があると指摘されています。

関連用語

低予算で評価の低いゲームは「バーゲンビン」作品と呼ばれることがあります。

まとめ

AAAゲームは、ゲーム業界における重要な存在ですが、開発費の高騰や労働環境の問題など、多くの課題を抱えています。一方で、AAA+ゲームやインディーゲームといった新たな動きも見られ、ゲーム業界は常に変化を続けています。

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