ABC (新聞)

ABC（アベセ）

『ABC』は、スペインのマドリードを拠点とするスペイン語の日刊新聞です。この新聞は、1903年に創刊され、全国紙としての地位を確立しています。発行部数はスペイン国内で第3または第4位を誇り、エル・パイスやエル・ムンドと共に「記録の新聞」とも称される有力なメディアです。

歴史的な背景

『ABC』は、創刊当初は週刊紙としてスタートし、1905年には日刊紙へと移行しました。特にスペイン内戦期には、その立場を巡って複雑な歴史を辿ります。1936年には、政府の支持を受けて政治的立場を変更しましたが、同年に反乱軍が占拠した地域では異なる方針の新聞が発行されました。内戦終結後、フランコ体制下では再び支配権が戻り、ABCはフランコ支持のメディアとして名を馳せました。

1970年代末から1980年代には、ABCは中道右派の政治団体と密接な関係を持ち、編集長のルイス・マリア・アンソン時代には、より保守的な主張を展開しました。1999年には新たな編集長が就任し、紙面の改革が進められていきます。また、2009年には1903年まで遡る過去の記事がアーカイブ化され、オンラインでアクセス可能になりました。

特徴とスタイル

『ABC』は、タブロイド版よりも小さいコンパクト版を採用し、視覚的に魅力的な新聞作りに特徴があります。特に一面には大きな写真が使用されることが多く、視覚メディアとしての側面が際立っています。近年では、スペイン文化や芸術に焦点を当てた特集もあり、読者からは総じて保守的な意見が散見されます。

同紙は、グルーポ・ボセントの一員として、他の地域紙も傘下に持ち、広域的なメディアネットワークを形成しています。

発行部数の推移

『ABC』の発行部数は年代によって変動しており、1970年の212,536部から始まり、1993年には334,317部に達しました。これは当時スペインで第2位の数字でしたが、その後の競争や市場変化により、2000年代には発行部数は減少の傾向を示しました。2001年には292,000部、2006年には230,422部といった数字を記録しました。メディア環境の変化に対応しつつ、ABCはその地位を維持してきました。

このように、『ABC』は長い歴史と確固たる地位を持つ新聞として、今も多くの読者に支持されています。

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