ACE (探査機)

ACE (Advanced Composition Explorer) について

ACE（Advanced Composition Explorer）は、NASAのエクスプローラー計画の一環として実施されている探査ミッションです。この探査機の主な目的は、太陽や銀河を起源とする高エネルギー粒子を宇宙空間で直接観測することにあります。これらの粒子の組成やエネルギー分布を詳細に調べることで、宇宙の物理現象や太陽活動のメカニズムを理解するための重要なデータを提供します。

1997年8月25日にケネディ宇宙センターからデルタIIロケットで打ち上げられたACEは、地球と太陽の重力が均衡するラグランジュ点L1付近のリサジュー軌道上で運用されています。この位置は、太陽風や太陽からの高エネルギー粒子を継続的に観測するのに理想的です。探査機の重量は596kgで、搭載された観測機器により、様々な種類の粒子を広範囲にわたって観測することが可能です。

ACEが取得したリアルタイムデータは、宇宙天気予報センターで活用され、太陽嵐の予測精度向上や早期警告の発令に役立っています。特に、地球に磁気嵐が到達して送電網や通信インフラに影響を与える可能性がある場合、約1時間前に警告を出すことができるため、被害を最小限に抑えるための対策を講じることが可能です。

探査機の開発とインテグレーションは、NASAのゴダード宇宙飛行センターが主導しました。ACEの観測活動は現在も継続しており、2024年まで軌道を維持するための十分な燃料が残っているとされています。

ACEに搭載された観測装置

ACEには、高解像度の観測を行うための6台のセンサーと、3台のモニタリング用装置が搭載されています。これらの装置は、太陽を起源とする低エネルギー粒子から、銀河宇宙線のような高エネルギー粒子まで、幅広いエネルギー領域の粒子を観測します。

以下に、主な観測装置を紹介します。

Cosmic Ray Isotope Spectrometer (CRIS)：宇宙線の同位体を分析する装置。
ACE Real Time Solar Wind (RTSW)：リアルタイムで太陽風を観測するための装置。
Solar Wind Ion Mass Spectrometer (SWIMS)：太陽風のイオン質量を分析する装置。
Solar Wind Ion Composition Spectrometer (SWICS)：太陽風のイオン組成を分析する装置。
Ultra-Low Energy Isotope Spectrometer (ULEIS): 超低エネルギー同位体を分析する装置
Solar Energetic Particle Ionic Charge Analyzer (SEPICA)：太陽高エネルギー粒子のイオン電荷を分析する装置（2008年以降故障）。
Solar Isotope Spectrometer (SIS)：太陽粒子の同位体を分析する装置。
Solar Wind Electron, Proton and Alpha Monitor (SWEPAM)：太陽風の電子、陽子、アルファ粒子を観測する装置。
Electron, Proton, and Alpha-particle Monitor (EPAM)：電子、陽子、アルファ粒子を観測する装置。
Magnetometer (MAG)：磁場を測定する装置。

これらの観測装置によって、ACEは太陽風のパラメータや太陽由来のエネルギー粒子を詳細に観測し、地球への影響を早期に予測するための重要なデータを提供しています。

ACEの主な観測成果

ACEは、地球から約150万km離れた位置から24時間体制で太陽風を観測し、地球に磁気嵐が到達する約1時間前に警告を発することが可能です。これにより、送電網や通信システムへの影響を最小限に抑える対策を講じることができます。また、ACEが取得したデータは、太陽風や宇宙線の研究において貴重な情報源となっています。

外部リンク

Advanced Composition Explorer (ACE) Home Page

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