ACM (ミサイル)

AGM-129 ACM: アメリカ空軍の発展型巡航ミサイル

AGM-129 ACMは、アメリカ空軍で使用される巡航ミサイルの一種で、その名称に含まれる「ACM」は「Advanced Cruise Missile」を表しています。日本語に直訳すると「発展型巡航ミサイル」となり、核兵器の搭載が可能なこのミサイルは、威力ある兵器システムとしての役割を担っています。

開発の背景

1982年、AGM-129の開発が始まりました。このミサイルは、AGM-86 ALCMの後継として位置づけられ、核弾頭を搭載しつつも、通常弾頭を装備するバリエーションも存在します。AGM-129は、長射程と高精度の誘導能力を求められ、レーダーの反射面積や赤外線の放出量を減少させることが必要条件とされました。1984年に開発名称が決定され、1985年には最初の飛行試験が実施されました。1991年に実戦配備が開始され、弾頭にはAGM-86 ALCMと同じくW80-1熱核弾頭が使用されています。

各型の特徴

AGM-129にはいくつかのバリエーションが存在します。

AGM-129A

最初にアメリカ空軍に納入された型で、1991年から作戦運用が開始されたAGM-129Aは、W80-1熱核弾頭を使用し、核出力を5Ktから150Ktの範囲で調整可能です。このミサイルは2012年に退役しました。

AGM-129B

この型は本体構造の見直しやソフトウェアの変更が行われ、新型の核弾頭が搭載されました。ただし、1990年に発表された後、進展がほとんどないため、開発に問題があったと見られています。

AGM-129C CACM

AGM-129Cは貫通型の通常弾頭を搭載し、CACM（通常弾頭発達型巡航ミサイル）と称されます。その誘導装置にはディファレンシャルGPSが追加され、精度が向上しました。AGM-129Aからの改造型として20～30発が存在します。

構造と機能

AGM-129は基本的に円筒形の断面を持ち、その下部は平面になっています。先端部も平面構造で、これはステルス性を向上させるための設計と思われます。中央部には展開式の翼があり、飛行中に26度の前進翼に展開されます。尾部には水平尾翼と垂直尾翼が取り付けられており、これらも投下後に展開されます。

推進装置にはF112-WR-100ターボファンエンジンが使用され、空気取り入れ口は本体下部に配置されています。排気は尾翼後部から放出され、冷たい大気と混ぜ合わせることで温度を下げる設計になっています。また、レーダー波吸収剤のコーティングが施され、赤外線の放出を抑えるためつや消しの濃黒緑色で塗装されています。突起物を減らすことで探知されにくくなっている点も注目されます。

事故と配備状況

2007年8月30日、許可されていない実核弾頭を搭載したACMがB-52H爆撃機に誤って搭載される事故がありました。この事例では、実核弾頭が36時間行方不明となりました。

AGM-129は当初、2,500基の配備が計画されていましたが、冷戦の終結により1993年に460基で生産が終了しました。また、2002年に締結されたモスクワ条約に伴う核戦力の削減により、2007年には400基が退役しています。

現在、AGM-129の保有数は限られており、搭載されているミサイルのうち約120発は通常弾頭装備型であるとされています。B-52HやB-1B、B-2に搭載され、実戦任務に供されています。AGM-129シリーズは、引き続きアメリカ空軍の核抑止力として重要な役割を担っています。

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