ACTOR'S TRASH ASSH

ACTOR'S TRASH ASSH：日本の演劇シーンに彩りを添えた劇団の軌跡

2002年、松多壱岱氏を中心に旗揚げされた日本の劇団ACTOR'S TRASH ASSH（アクターズトラッシュアッシュ）。2023年12月、惜しまれつつも無期限の活動休止を発表しました。東京都を拠点に、独自の演劇スタイルで多くの観客を魅了してきた彼らの歴史を振り返ります。

始まりとスタイルの変遷

初期はシュールなコメディ作品を手がけていましたが、2003年の長編作品『Get My Soul』が「若手演出家コンクール」一次審査を通過したことをきっかけに、劇団はさらなる高みを目指します。転機となったのは、鬼伝説を題材にした時代劇『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』。この作品はこりっちランキングで1位を獲得、1200名を超える観客を動員する大成功を収めました。この作品を機に、劇団は伝承や伝説をベースにしたオリジナル作品を創作する「ネオフィクションエンターテイメント」という独自のスタイルを確立していきました。

代表作と進化

『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』はその後も再演を重ね、劇団の代表作として不動の地位を築きました。2011年の『降臨FIGHT』では動員数が2000名を超え、劇団の成長を象徴する出来事となりました。あうるすぽっとやシアター1010といった主要劇場での公演も経験し、その存在感を増していきます。2016年には、『世界は僕のCUBEで造られる・2016』でサンモールスタジオ最優秀団体賞を受賞、高い評価を得ました。

その後、白狐丸を主人公とした「白狐丸サーガ」シリーズを発表。白狐丸サーガは、『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』、『白キ肌ノケモノ』、『散れ桜よ、刻天ノ証ニ』といった作品群で構成され、独自の物語世界を構築しました。さらに、怪盗小説『ジゴマ』を原作とした『帝都探偵奇譚ジゴマ』シリーズにも挑戦するなど、幅広いジャンルの作品に挑戦し続けました。

2019年には、高校生が自主制作で『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』と『雷ケ丘に雪が降る』を上演し、『雷ケ丘に雪が降る』は大賞を受賞するなど、その影響力は若手にも及んでいました。しかし2020年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で公演が延期されたのち、無期限延期となり、活動に大きな影を落とすことになりました。

劇団名の由来とメンバー

劇団名の「ACTOR'S TRASH ASSH」は、「ゴミ溜めから花束を」という詩から着想を得ています。「名もない集団が花を咲かせる」というコンセプトのもと、演劇経験のないメンバーを中心に結成されました。「ASSH」は「ACTOR'S TRASH」の略称です。

活動休止時点での主要メンバーには、松多壱岱（脚本・演出）、小栗諒、花岡芽佳、梅田祥平、飯原優、宮ノ尾美友らが名を連ね、多くの俳優たちが在籍していました。また、壷阪英理佳（衣裳・美術）、大塚侑子（演出助手）といったスタッフ陣も重要な役割を担っていました。

活動休止と今後の展望

2023年12月、松多氏のみが籍を残し、他のメンバーは全員卒業という形で、ACTOR'S TRASH ASSHは無期限の活動休止に入りました。10年以上にわたる活動の中で、数々の傑作を世に送り出し、多くの観客を魅了してきた劇団の活動休止は、日本の演劇界にとって大きな損失と言えるでしょう。しかし、彼らの作品は、これからも多くの人々の心に残り続けることでしょう。

まとめ

ACTOR'S TRASH ASSHは、独自のスタイルと熱意で演劇界に新たな風を吹き込みました。彼らの活動休止は寂しい限りですが、残された作品は、今後の演劇史において重要な位置を占めるものとなるでしょう。彼らの功績を称えつつ、今後の発展を祈念いたします。

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