ADヴィジョン

ADヴィジョン（A.D. Vision）

ADヴィジョン、通称ADVは、アメリカ合衆国に本拠を置く多国籍マルチメディアエンターテインメント企業です。1992年にジョン・レッドフォードとマット・グリーンフィールドの手によって設立され、以来広範な事業を展開してきました。テキサス州ヒューストンに本社を構え、ヨーロッパやアジアにも支社を設けているこの会社は、ホームビデオ制作やテレビ放送、劇場用アニメの上映、グッズ販売、オリジナル作品の制作、さらには雑誌や漫画出版など多岐にわたる事業を手掛けています。

ADヴィジョンの代表作のひとつは、ガイナックス製作のアニメシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』です。この作品は1997年にADVの手によってアメリカで初めて公開され、その後も何度も再リリースされるほどの人気を誇りました。ADVは設立以来、大きな成長を遂げ、多数の子会社を持ち、様々なジャンルの作品を手掛けてきたものの、2009年9月には資産を売却し、事業を停止する運命を迎えました。

歴史

ADヴィジョンの設立初期は、日本の双日が持ち株会社JCIとともに資金を提供し、映画配給会社クロックワークスもその一部として参加しました。これによりADVは、双日を通じて北米や欧州のコンテンツを日本に輸入するサポートを行うこととなりました。

ジェネオンとの関係

2007年に行われたジェネオンエンタテインメントとの提携は、ADVフィルムが作品のマーケティングや配信を手掛けることを約束していましたが、実際には9月に取りやめられた経緯があり、両社の合意が得られなかったことが原因とされています。

双日との関係悪化

2006年には双日との業務提携を結びましたが、その後ADVは自身のウェブサイトから多くの作品を削除しました。特に『天元突破グレンラガン』といった期待されていた作品が消える中で、最終的にはバンダイエンタテインメントがそのライセンスを取得することとなりました。

関連事業

ADヴィジョンの中心的な部門の一つであるADVフィルムは、アニメや特撮のビデオ販売を手掛け、1996年にはイギリスに支社を設立しました。ADVフィルムは、コレクションとして多彩なアニメ作品を扱い、初の完全デジタルビデオマスタリングを用いたアニメのライセンスも取得しました。

このフィルム部門は、過去にアニメADVオケーツというプログラムを制作し、北米におけるアニメクラブにも上映素材を提供していましたが、2007年以降はそのプログラムを中断せざるを得なくなりました。

ソフトセルピクチャーズ

一方、ソフトセルピクチャーズはアダルトアニメに特化した子会社でしたが、2005年に閉鎖され、多くの作品のライセンスはライトスタッフインターナショナルに引き継がれました。

ニュータイプUSAとアニメネットワーク

ADVはアニメに関する雑誌「ニュータイプUSA」をも展開していましたが、2008年に廃刊となりました。『アニメネットワーク』は北米初のアニメ専門チャンネルとして、2003年に開局しました。

ADVマンガとADVミュージック

また、ADVマンガ部門は日本の漫画作品のライセンスや英語版の出版に取り組んでおり、急速な成長を遂げました。しかし、2004年以降には多くの作品を取りやめ、少数の人気作を中心に縮小していくことになりました。

音楽部門では、ADVミュージックがアニメ映画のサウンドトラックを配信し、『新海底軍艦』や『万能文化猫娘』などの作品が代表作として知られています。

結論

ADヴィジョンは、エンターテインメント業界において多岐にわたる影響を与えた企業でありましたが、急激な変化と成長の一方で、最終的には事業を停止する道を選びました。その歴史は、アニメや漫画の輸入、制作、配信の重要な一端を担っていたことを物語っています。

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